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0901201ジュールさんとの白い一日

評者)はる

ジュールさんとの白い一日

ダイアナ・ブロックホーベン 著

オルセン昌子 訳

赤ちゃんとママ社

1,200円+税

★★★★☆(星4つ)

 毎日を生きる上で、必要なこと。それは、過ごしたその一日を誰かに語ること。食したものを語り、歩いた道で嗅いだ匂いを、目にした色彩を言葉にする。そんな当たり前だと思っていたことが、ある日、突然叶わなくなってしまうとしたら、それは空虚な日々が続くことを意味するのだろうか。

 ジュールは突然、死んでしまう。いつものようにテーブルに朝食の用意をして、コーヒーを沸かして。年老いた妻のアリスは、雪で閉ざされた二人の「白い一日」を過ごしながら、その意味を理解していく。人はいつか死を迎え、共に生きた人たちと別れていく。しかし、肉体の死は〈外側〉の死に過ぎず、語り合い、言葉によって形を与えられた日々は、残された人の心の〈内側〉でいつまでも生き続けるということを。

 忙しく生きることで、感じたことを味わったり、今日の日を愛おしく思ったり、自分自身を省みたり...そんな大切なことを忘れてしまっていたと気付かせてくれる温かな一冊。


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09.12.1/3:20 PM