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症例51: 痙攣重積発作

82歳男性
C型肝炎による肝硬変と肝癌で通院加療中。2日前から下痢気味だが便通は一日3行程度。
昼食をとっていたところ突然意識を消失し、その直後から体をガクガクと揺さぶるようなけいれんを起こした。家族が慌てて床に寝かせ119番通報をした。

救急隊の到着時、痙攣発作はなく、チアノ-ゼ等もなかった。意識JCS100、瞳孔散大5mm左右差なし、外傷なし。発汗なし。四肢麻痺も見られない。失禁を認めた。血圧156/92mmHg、脈拍89/分、不整、呼吸16/分。呼気に異常臭は認めない。SpO2 96%。


Q1:痙攣発作の原因として考えられるものは
Q2;搬送中の注意点は


A1:けいれんを起こす疾患全てが考えられる。しかし可能性の大きいのは脳疾患であろう。
A2:再び痙攣発作が起きた時の嘔吐・窒息。可能なら回復位で搬送したい。


解説

患者はいままで痙攣発作を起こしたことはなく、また意識消失発作も初めてであった。
痙攣の原因として多いのは頭部外傷、脳膿瘍などの感染、脳腫瘍、熱射病などの発熱疾患、癲癇、糖尿病があげられる。年齢から考えて脳疾患が考えられるため、すぐCTをとろうとしたところまた痙攣発作を起こした。
CTでは左右の側頭葉に脳梗塞が見られるだけで腫瘍や出血は見られなかった(図1)。

血液検査結果では肝機能障害、高血糖、貧血が見られたが電解質異常は見られなかった(表)。

項目 検査値 正常値
ビリルビン 2.25 (0.2-1.3)
GOT 82 (7-38)
GPT 100 (4-43)
r-GTP 237 (12-75)
総コレステロール 98.9 (120-220)
CPK 68 (27-236)
総蛋白 5.5 (6.0-8.1)
アルブミン 2.4 (3.4-4.9)
血糖 198 (57-110)
Na 137.3 (135-147)
K 3.93 (3.6-5.0)
Cl 100.8 (98-108)
CRP 18 (0)
白血球 77 (34-94)
赤血球 321 (387-525)
ヘモグロビン 10.4 (12.6-16.6)
ヘマトクリット 30.5 (37.5-49.0)

脳波ではわずかに棘波が見られた。
痙攣は3分間の強直間代性痙攣でその後5分程度の痙攣誤睡眠を伴い、それが30分に一回起こった。抗痙攣剤であるジフェニルヒダントイン(アレビアチン)に反応せず、ジアゼパム(セルシン)10mgで30分程度しか痙攣を押さえられなかった。そのためジアゼパムを24時間持続投与し痙攣を抑制した。現在も痙攣は続いており、薬剤の種類と投与量を検討しているところである。


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07.4.12/9:23 PM