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症例1: 発作性心房細動

提示:玉川 進 幹事長


動画コーナー

心肺蘇生の基礎〜発作性心房細動


「中年の女性。急に心臓がドキドキしだしたというので救急車を呼んでの来院。家で何のきっかけもなしにめまいがし、心臓がドキドキしたという。来院時にはすでに具合が良くなっており、脈を取っても心電図検査をしても異常はなかった。」

Q1 覚知時点で考える疾患

Q2 覚知時点で計画すべき観察

Q3 現着時点で考える疾患

Q4 現着時点で行う観察

Q5 病院到着時点で医師に渡す情報

Q6 確定診断

Q1 覚知時点で考える疾患

覚知時の乏しい情報からは、考え得る最悪の疾患を想定するべきである。心臓疾患では心筋梗塞がそれに相当する。

心筋梗塞の症状としては

1)胸痛

1時間以上続く疼痛であり、また死の不安を強く訴える。心窩部から左肩・左耳介・左前腕に放散する。ニトログリセリンの有効率は30%である。モルヒネが頻用される。

2)不整脈

発症後24時間以内の最大の死亡原因である。あらゆる不整脈が起こりうる。最も警戒すべきなのは心室細動であり、来院前死亡の60%を占める。

3)ショック

心原性のショック。梗塞した心臓壁が動かなくなる、不整脈で心拍出量が低下する、弁不全など、いろいろな原因が重複してもたらされる。

Q2 覚知時点で計画すべき観察

心筋梗塞を想定した観察を計画する。

・意識状態

・脈拍

・血圧測定

・心電図モニター

・パルスオキシメータ

必要な器材は除細動器である。それと蘇生器材。

Q3 現着時点で考える疾患

現着時点では症状がなくなっていたことから、心筋梗塞とは考えづらい。次の重要疾患の狭心症を考えるべきである。

狭心症は心臓に血を流している血管が細くなったり痙攣したりして心臓に満足に血液を届けられなくなるもので、症状としては3分以内の前胸部痛が代表的であるが、不整脈の発生も知られている。

Q4 現着時点で行う観察

Q2と違うのは現着時点でドキドキが治まっている点である。

本当に治まっているのか、脈を取ること。脈(橈骨動脈)は患者の手の手首、親指の付け根の当たりを人差し指・中指・薬指の三本を並べて取るようにする。太った人で脈が触れにくい場合には頸動脈を触れると確実である。30秒程度そのまま触れていれば、脈が不整の場合や頻脈の場合には必ず触知できる。

救急車では心電図モニターとパルスオキシメータは必須である。搬送時間がどんなに短くてもパルスオキシメータだけは絶対につけること。

Q5 病院到着時点で医師に渡す情報

医師は重大な疾患から軽微な疾患へ、入院を必要とする疾患からそのまま帰宅できる疾患へと考えていく。重大な疾患の場合には患者の雰囲気がただならないことから、救急外来に搬送された時点で察しがつくことが多い。

この症例の場合には主訴が脈拍の不整もしくは頻脈である。第一に知らせるべきは救急隊が患者の自覚症状を確認したかである。それは口頭で行うよりも心電図やパルスオキシメータのプリントアウトのほうが説得力を持ち診断に有用なのは言うまでもない。血圧測定値も報告する。

症状が始まった時間(不明ならばだいたいの時間と覚知時間)も診断に必要となる。現場での患者の様子も知らせてくれると役に立つだろう。

Q6 確定診断

救急外来では問診で既往歴・現病歴を尋ねるとともに、心電図検査・胸部理学的(身体)所見を取り、上室性頻拍発作の疑いと診断した。

本症例では不整脈発作が突発的で短時間に消失したこと、2年前と3日前に同様の発作がありどちらも短時間で消失していることから、心房細動か上室性頻拍・上室性不整脈のどれかであろうと考えた。ただし、発作が確認できなかったことから、確定診断には至らなかった。


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07.5.13/12:44 PM