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シリーズ 救命の輪をつなげ!女性救命士

第6回

兼務救急救命士

田中恵美子

遠軽(えんがる)地区広域組合消防本部 遠軽(えんがる)消防署 
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出身 北海道
救命士取得 平成18年5月
消防士拝命 平成20年4月
趣味 フロアボール、スキー、スノーボード
身長 143cm


シリーズ構成

冨高 祥子(とみたか しょうこ)
会津若松地方広域市町村圏整備組合消防本部 会津若松消防署


題名




【日本一小さい消防士】

私は、自称「日本一小さい消防士」です。女性としてもかなり小柄な枠に入ると思います。体格には恵まれませんでしたが、救急隊員に憧れがあり、専門学校で救急救命士の資格を取得しました。もとは救急専従が希望で、都市部の消防を中心に受験しましたが、体力や体格も重要な要素となる職業です。女性でましてや小柄となると、面接や体力試験での評価はかなり低かったと思います。何ヶ所も消防を受験し、「次に決まらなかったら消防への就職は諦めよう」と思って最後に受験したのが、現在私が勤務する遠軽(えんがる)地区広域組合消防本部です。

【兼務】

遠軽地区広域組合消防本部は、組合面積は東京都とほぼ同じで、約2千2百Iもの広さを持ちますが、管轄内人口は約3万6千人と小規模な組合です。小さな消防では、救急専従とはいかず、色々なことを兼務しなければなりません。警防や通信、予防など係の業務の傍らに119番通報が入れば、内容により消防車と救急車を乗り換えて出場する、といった具合です。

 救急以外は無知な私が、消防車や各種資機材について理解することは容易でなく、正直酷でした。火災や救助現場で体力のなさを感じた時には、組織の一員として自分は役に立っているのか、と思ったりもしました。しかし、兼務の魅力は色々な分野に挑戦できることで、昨年度から配属された「予防」という分野の仕事は、学ぶことがとても多くてやりがいがあります。頑張れば自分の新たな武器となるかもしれない。兼務だからこそ発見できたことだと思います。

写真1
メディカルラリー優勝。やったー!

【メディカルラリーで自信を!】

 現在は、兼務の良さを十分に感じています。でもやはり、救急救命士の資格を持つ者としては、専従で数多くの件数をこなす救急救命士との経験の差が気になっているのが本音です。勤務中に訓練を行えればいいのですが、実際のところ満足には行えません。この出動件数の少なさをどうカバーするか?

私は「メディカルラリー出場」という方法を見つけました。2年前、先輩の誘いを受け、北海道メディカルラリー出場の機会をいただきました。ご存知の通り救急活動などの技術を競う大会です。主に非番や休日にプロトコルの再確認や、今まで自信のなかった手技を徹底的に訓練したことで、普段の救急現場でも自信を持って活動できるようになりました。もしメディカルラリーに出場していなかったら、今でも救急救命士として自信のないまま、不安を抱えて現場に向かっていたかもしれません。

写真2
メディカルラリーの一コマ。心肺停止

【ドクターヘリの活用と救命士の技術】

近年、遠軽地区でもドクターヘリ要請の事例が増加しており、昨年は34件。遠軽には病院の数も少なく、近隣にも限られた医療機関しかありません。脳卒中や重篤な事案が発生すれば、隣接する市まで1時間かけて搬送するか、ドクターヘリを要請するという選択をしなければなりません。このような傷病者に対し、救急救命士としてできる処置は限られるので、傷病者の状態を早期に認識し、最善な方法が選択できるよう「判断する技術」が鍵を握ってきます。今後はそれをさらに向上させていくことが、救急救命士として重要な仕事だと思います。


写真3
メディカルラリーの一コマ。トリアージ

【消防という世界で頑張る理由】

遠軽地区広域組合に私が採用された時には、すでに2人の女性救命士の先輩が勤務していました。女性仮眠室もあったので、消防学校卒業と同時に当直勤務に就き、救急隊員として現場に出ることもできました。よって、私は自分自身で女性が働く職場環境を作る、という苦労を経験していません。しかし、全国のたくさんの先輩たちにその苦労があったことは想像できます。また、強い思いで消防に入りたい、と願ったのに叶わなかった女性が世の中にたくさんいることも知っています。そういう人たちがいるからこそ、チャンスを掴んだ私はこれからも消防という世界で、女性救急救命士として頑張って行こうと思っているのです。

写真4
メディカルラリー。私は人一倍小さいです(泣)

【何とかしろ】

「何でもいいから何とかしろ。」

これは専門学校の恩師に言われた、とても大事な一言です。先にも触れましたが、小柄な私は、高い所が届かないのはもちろんで、ストレッチャーは自分の胸の上まで持ち上げる、とか、手が小さいので普通には使えないものがある、など基本通りにはいかないことが多くあります。仲間に頼むことも多いですが、まずはこの一言を思い出して、何とか自分の方法を模索します。最適な方法を考えることや自分で出来ることを探して行動することは、女性とか小柄とかは関係なくても、様々な現場活動で必要です。恩師の言葉をを忘れず、今後も消防職員、そして救急救命士としての誇りを持って、日々の活動に邁進していきたいと思っています。


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15.11.6/4:41 PM