OPSインタビュー 吉田寿美:勉強会のススメ(インタビューは中段にあります)

本当に救急隊員だった吉田寿美(歌登)

2004-4-17 sat 23:00

ただの酔っ払いおやじかと思われている吉田寿美(歌登)は本当に救急隊員だった。衝撃のレポ。

脳硬塞患者が救急車でやって来ました。CTの結果名寄に転院搬送することになりました

慌ただしく準備をする看護婦さんたち。

添書を書く山田朋美(歌登国保)さん

傷病者を確認する

吉田寿美(歌登)池田剛(イケダタカシ)

左 大林一夫救命士。右 吉田おやじ。大林救命士には救急外来でこてんぱんにやっつけてやりました。

ほら、おやじは救急隊員でしょ。

搬送にかかる

病院入り口

患者に動的衝撃を与えないように細心の注意

閉めます

気をつけて


吉田寿美(よしだ としみ)

2003-12-30 tue 20:00

北海道宗谷管内歌登町出身
昭和56年4月 南宗谷消防組合歌登支署 消防士拝命
昭和57年9月 第74期初任教育修了/救急I課程修了
平成7年4月 救急II課程修了

現在 南宗谷消防組合歌登支署 予防係長
愛称 吉田オヤジ

Q:神出鬼没、北海道の至る所で目撃されている吉田オヤジですが、あちこち出入りするようになったきっかけを教えて下さい。

パソコンを手にしたことからです。当時同僚にパソコンの詳しい人がいて、簡単だからという理由で勧められるままにアップルマッキントッシュパフォーマ630を買いました。テレビも見られるパソコンです。届いたときにはわくわくしましたね。

そしてインターネットに繋いで、Yahoo!で「救急」と打ち込んでみたところ、AEMLというメーリングリストが出てきました。AEMLが立ち上がってまだ2か月経ったかの頃で、今と違ってASAHIネットにホームページが載っていました。AEMLは旭川とあって、「えっ」と思って全く何も分からず管理人の山田博司さんに入会メールを送ったのが直接のきっかけかな。

Q:メーリングリストに入ってどうでしたか。

世界が変わりました。今まで自分は何をやっていたのだろうというカルチャーショックを受けたのです。

同じ仕事をしているものとして、取り組みというのか、何と言ったらいいんでしょうね、驚いたのです。今まで自分は救急車に乗ってはきましたが、他の人たちは私が考えないことをを考えているのです。そこでは救命士だけでなく、医学のことなら壁ができるはずの普通の救急隊員も参加していて、明るく救急のことを話している。それに勉強会のページもあって、医者もどんどん入ってきている。

これを読んで、このままの自分じゃだめだ、自分が運んでもらいたい救急隊になりたいと思いました。

2000年4月23日旭川厚生病院で行われた予演会(写真中央)

そこで、ある時予演会に飛び込んで行ったんです。もう、当てられて、何も分かりませんでしたが(笑)。答えを言えなかった自分が情けなかった。

もともと自分は本を読んで勉強するタイプではなく、そういう場所に行って体で覚えるタイプなので、あちこち出没するんですよ。きちんと一つのことを覚えるのに人より相当の時間を要しますし。

その直後の懇親会

一時期スキーを習っていたことがあったんです。当時は分かった振りをしていましたが、今10年経って、「ああ、このことを言っているんだ」と理解できることがあります。それほど物事を理解するには時間と場数が必要なのです。ですから、あちこちに勉強会に行って習うんですよ。一回じゃ覚えられない、何と言うのか、自分には学習能力がないのでしょう。

いつも会う人たちにはすごいと思いますよ。吸収力が違う。振り返って自分はそこまではないような気がする。例えば、10のことを覚えるのに、他の人たちにはすぐ覚えることでも、自分は3〜4回はやらないと。10のうち1〜2しか覚えられないと思うので、同じ経験を繰り返すようにしています。

Q:そのバイタリティはどこから来るのですか。

よく聞かれますが、自分では努力しているわけではないのです。休みが合ったら行くだけです。車の運転も苦になりませんし、行けるところには行っています。何もしないで家でゴロゴロするよりは、行けるところに行っていればそれだけ収穫がありますから。

それにね、勉強するのもあるのですが、その場にいるのがとにかく楽しい。雰囲気が楽しい。お酒も飲めますしね。
でもね、宴会には必ずいると思われているようですが、実は、酒は意外に飲んでいないんですよ。お茶を飲んでいることが多いんです。次の日勤務ですからね。帰らないと。

Q:奥様の反応はいかがですか

あきれています(爆笑)

Q:印象に残っている勉強会は

最近ではないのですが,厚田村で勉強会に参加したときには「なんでいるんだよ」とびっくりされました。時間があったので厚田のシャコ食って、楽しかったですよ。

それと、月刊消防に「消毒剤あれこれ」が載った時に、東北地方の消防の人から電話をもらったことがあります。ビックリしましたよ。ちょうど自分が出て、「吉田さんいますか」って。消毒薬のことより、「支署ってなんですか」っていう話になって盛り上がりました。

Q:その豊富な情報量はどこから得ているんですか。

メーリングリストが主です。今入っているメーリングリストはAEML, JPTEC北海道@egroup, オホーツク外傷研究会、道北プレ・ホスピタル・ケア研究会、それと掲示板配信がOPSJPTEC北海道です。一日当たりのメールの数は、来ないときは来ないですし、来たとしても大した数ではないです。全国区のメーリングは、一回入ろうと思ったのですが、送信ボタンを押すのをためらって今に至っています。

それで、メーリングでの情報をもとに勉強会に参加すると,他の人が雑談の中で「まだはっきりしていないんだけどこんな予定もあるよ」と教えてくれるんです。「じゃああとで教えて」というと、皆さんしっかり個人メールをくれる。きっと来ると思っているんでしょうね。

Q:勉強会や研究会に参加して、自分の視界は広がりましたか。

広がっては来ましたが、どこまで本質を掴んでいるのかは疑問があります。自分の足下はどうなっているのだろうというのはちょっとまだ分かりません。中途半端で流れているのではないかなと思うところもあります。

なかなか地方にいるとモチベーションが上がらないんです。都会のように勤務のたびに1日に2〜3回救急出動があれば自分も変わって行けるのでしょうが、幸か不幸か歌登は平和なので、なかなか緊張感が生まれません。人間は楽な方に行くじゃないですか。それで、全道各地には一生懸命な連中がいっぱいいるんだと思い、彼らからのエネルギーを分けてもらうつもりでいます。彼らに会うと自分も一生懸命やらないといけないと思う。勉強会参加には自分を奮い立たせる意味もあります。

Q:これからやりたいことは何ですか。

外の世界を知るということは、すばらしいことなんだ、ということを仲間に伝えていきたい。

すごいことをやっているように見える連中であっても、自分と同じ悩みを持っている、すごい連中でもこんなことを思っている、同じ仲間なんだと感じることができる。ちょっと手を伸ばして足を運べば見識を広げることができる。それが外の世界です。でも私はそこに「行け」と命令するのではなく、こういう勉強の仕方もある、そこに行けば本には書いていないことも教えてくれるし、かゆいところをかいてもくれる、そういった勉強の仕方もあるんだということを示していきたい。絶対に経験が少ない私たちに対して、教科書では書いていないところや自分たちの経験からのノウハウを惜しげもなく披露してもらえますよ。「へ〜」の連発ですね。

こういう勉強の仕方、そして自分で見て聞いて感じて4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, ハイ呼吸なし!違うか、自分で得た知識を職場にFeed back していきたいと思っています。

このインタビューは本人の話をもとに許可を得て再構成したものです。


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