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170910木原健雄(下関消防)救急の統計について

氏名 木原 健雄(きはらたけお)

下関市消防局西消防署 44歳

出身地 下関市(山口県)

消防士拝命 平成6年4月

救急救命士合格 平成12年5月

趣味 興味を沢山持つ

ちょっと固い話ですが、みなさん救急蘇生統計(ウツタインデータ)についてどう思われますか。あまり気にしたことはないのではないでしょうか。そこでこの救急蘇生統計について考えてみたいと思います。例えばCPA事案、市民のAEDの使用により、救急隊が現場到着前に傷病者が会話可能・意識レベルが1桁となっていた場合、帰署後の報告書等はどうされますか?一般市民の実施したAEDは包括的指示の除細動にあたらず、事後検証の対象であるかどうか地域により異なるのではないでしょうか。救急蘇生統計には必要かもしれませんが、まず本当にAEDにより電気ショックを行ったのかどうか?心電図波形を確認しないと・・・。心電図波形を確認するためには、代替器とAEDから抽出するための機材が必要等々、そもそも記入するかどうかに悩まされる方もおられると思います。ウツタイン様式オンライン入力要領ver.4.0.1(以下マニュアル)の答えは、「(2)入力要領等」「(ウ)一般的に心肺機能停止であったと推測されるが、救急隊到着時には心拍及び呼吸若しくは心拍または呼吸のいずれかが再開していた事例」となり『記入する』となります。(←みなさん読まれたことありますか)ここでマニュアルの少し下を見てみると、

【注】〇次の場合は入力対象外とする。

・何らかの理由によりCPRを行わず搬送した場合 

と記載されています。例えば明らかに死亡しているが地域の実情により警察に頼まれ、処置をせずに医療機関に搬送した場合や、DNRで医師の指示によりBLSもせずに病院へ搬送した場合等があげられます。実際はもっと多くのケースが想定されますが・・・。また、心原性・非心原性について[参考]≪非心原性に属するもの≫その他:他に分類されない心原性以外の内因性として 大血管系:大動脈解離・破裂、肺動脈血栓塞栓症等とあります。みなさん除外されていますか?この心原性か否かの判断はとても重要で、この救急蘇生統計の目的についてマニュアルには

ア 基本的な目的

・蘇生可能な症例(一般的には目撃された心原性症例)を明確にし、より正確な救命率を導くこと。

・国際的な比較に耐えうる正確な情報を入力することにより、わが国の救命率についての客観的な評価を行うこと。

・各地域間の比較により、地域の救急医療体制の問題点を明らかにする定規とすること。

イ 今後の応用が期待される目的

・病院到着前の心拍再開の意義など救命効果の向上に果たすプレホスピタル・ケアの役割をより客観的に分析・検証し、救急救命士の処置範囲拡大に含む救急業務の高度化を検討する際の基礎資料とすること。

・応急手当に関する救命効果について、より的確に検証し、今後の普及啓発の推進を図ること。

・救急救命士による気管挿管等処置範囲拡大を伴う救命効果の検証を行うこと。

と記載されています。

この一番下の救命効果の検証ですが、消防白書(総務省消防庁)に「消防庁の有する救急蘇生統計(ウツタインデータ)については、適切かつ有効に活用されるよう、申請に基づき、関係学会等にデータの提供を行っています」と記載されています。

私たちが普段記入するウツタイン様式に伴う救急蘇生統計、年間約10万件を超える貴重なデータを基に、救急救命士の特定行為について、処置の有無による救命効果、現場滞在時間と搬送時間が傷病者等に与える影響など様々な研究が発表されています。このデータが私たち救急救命士の首を絞めてしまっていては本末転倒ではないでしょうか。職場では様々な報告書がありますが、この救急蘇生統計は救急救命士及び一般市民のAEDの使用・バイスタンダーCPR等の統計の礎となります。職場での報告書、事後検証のみならず、この救急蘇生統計こそ丁寧に正確に記載する必要があると思います。1か月予後について病院へ問い合わせをしていますか?今一度、ウツタイン様式オンライン入力要領を読んでください。精度の高いデータにしてみませんか。一人でも多くの傷病者のために。


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17.9.10/0:51 PM