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110223 G2010:二次救命処置ALS

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最新事情
G2010:二次救命処置ALS

 ガイドライン2010(G2010)の5回目は二次救命処置についてお伝えする。二次蘇生とは「資器材(AEDを除く)や薬剤を使った疎生」のことで、救急隊なら挿管やアドレナリン投与が、病院であればさらに多くの薬剤や資器材が含まれる。この分野もそれほど変わった点はない。

二次救命処置の限界を明記

 蘇生は一次救命処置(胸骨圧迫と除細動、場合によっては人工呼吸)で決まる。二次救命処置は一次救命処置の補助であり二次救命処置には限界があることが明記された。ガイドライン2000からG2005の間の5年間、二次救命処置への期待が高まった時期があった。志の高い救急隊員は医師のための研修コースACLS(Advanced Cardio Life Support)に進んで参加した。日本ではACLSが商標の問題があって使えないため、心肺停止直後の数分を独立させた学習コースとしてICLS (Intermediate Cardio Life Support)ができたのもこの期間である。しかし、ACLSについては蘇生率向上に寄与しないことが明らかとなり、ACLSから独立したICLSが現在広く学ばれている。

 G2010でも二次救命処置の限界を明記している。つまり、薬物療法と器具を用いた気道確保は心肺蘇生にとってはあくまで補助に過ぎず、これらの二次処置に至る前の一次救命処置、とくに胸骨圧迫が蘇生の基本である、としている。またG2000当時の二次蘇生の期待の高まりについても「二次蘇生の前に優れた一次蘇生がなされたと仮定して」いたと評論している。

気管挿管にはカプノグラフィ

 胸骨圧迫と一緒に行う人工呼吸は1分当たり8回から10回とする。カプノグラフィーとは気管チューブとバッグバルブの間に噛ませて患者が吐き出す息の中にどれだけ二酸化炭素が含まれているか見る器械である。一般的はモニター画面がついていて、普通に息をしているのならモニター画面には台形が連なって描かれる。息を吐くと二酸化炭素濃度が上がるため線は高い位置になり、息を吸うと二酸化炭素はほとんど含まれないため目盛りは0になる。

 このカプノグラフィの利点は、気管チューブがちゃんと気管に入っていることと心拍が再開したことが分かることである。二酸化炭素は肺から出てくるため、気管チューブを食道に入れてもモニターには二酸化炭素が示されない。気管にちゃんとチューブが入ると胸骨圧迫でもたらされるわずかな肺血流に反応して二酸化炭素濃度が上昇する。質のよい胸骨圧迫では二酸化炭素濃度は10mmHg以上になることが分かっているので、10mmHg未満の場合は胸骨圧迫がうまくできていないと考えて改善を図る。心拍が再開した場合には、胸骨圧迫より大量の血液が肺に流れ込んでくるため、二酸化炭素濃度は急激に上昇し40mmHg以上になる。自発呼吸が出てきた場合には救急隊員が送気するのとは関係なく線が移動する。

 G2005で述べられていた色の変わる二酸化炭素検知器や浣腸器のような食道挿管検知器については積極的に推奨はされなくなった。

薬剤はアドレナリンとアミオダロン

 アドレナリンの使い方はG2005と同じで、患者の体重にかかわらず一回1mg、3分から5分ごとに投与を繰り返す。バソプレッシンは初回または2回目のアドレナリン投与の代わりに投与してもよい。繰り返す心室頻拍患者に対してはアミオダロンを投与するもの変更なし。

 G2005で心停止患者や無脈性電気活動患者に使うとされたアトロピンは、アメリカ版では使わないこととされた。使っても効果がないためである。しかし日本版では使っても良いことになっている。

電気ショックは最大エネルギーで

 これもG2005と同じ。AEDのように最初から通電量が決まっているものは設定に従う。二相性で出力を変更できるものは最大出力で放電する。単相性ではすべての器械で共通である最大出力360Jで放電する。最大出力では心筋にダメージが強くなるが、出力を低くしてムダな放電を繰り返すよりは1回で決めようという考えである。


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11.9.18/3:08 PM