小さな町の私のお仕事

作 しんちゃん

1.火消し

 私は俗に火消しとして消防という仕事を始めたのですが、現在火災出動は年間にすると約5から7回前後でしょうか。
 世間ではこれが消防の最大の仕事だと思われています。何せ知人や一般の町民の方との会話では「最近は火事も無いから楽で、仕事は忙しくないでしょう?」等と良く言われます。昔はこんな話が出ると必死になって、「こんな仕事もあるし、こんなこともしているので、暇ではありません」と答えていましたが、最近は面倒なので「まあまあ」ですと言ってしまいます。この辺をしっかり説明して理解を深めなければ、税金ド○ボーと町民の方に言われるのかな?

2.レスキュー

 このお仕事は年に2から3回です。
 消防に入りたての新人の殆どがこの仕事に就きたいと言いますし、テレビでも良くカッコいいレスキュー隊員が放映されています。
 しかし、現実を見ると私は一応消防学校の救助課程を修了はしているのですが、レスキュー隊員と呼ばれる程の知識も体力もありません。何せ40歳を超え、運動不足とアルコールにより皮下脂肪がたっぷりの身体になり、都会のレスキューの方々の足元どころか、地面の下にも及びません。
 救助活動でできる事は、器械を使用する事くらいで、力仕事は後輩に任せます。

3.火災調査員

 このお仕事はかれこれ15年以上しており、年間約10件位の火災調査をしています。
 火災調査は現場で灰をかき痕跡を見つけ原因を立証するもので、ある意味パズルを解くような奥の深い仕事です。しかし、非常に根気のいる仕事でもあり、私の性格には向いていないかも知れません。何より電気や工学などの知識も必要な上、文才もなければなりません。私は高校は普通科で理系の知識もないので非常に苦労しています。
 そこで小さな消防も火災調査をスムーズに行うため、火災調査のデーターベース(チョットしたCDはありますが)や、メーリングリストがあれば大変有効ではないかと思っています。

4.救急隊員(救急救命士)

 このお仕事は私の所属は専任ではないので、年間約100回程度ですが私の中ではメインの仕事になっています。
 最近はどこの町でも救急出動件数が増えており、私の所属でも年間約600件の出動件数となりました。
 私は初任教育で救急T課程を修了(当時は消防に入ったばかりで何が何だか判らないうちに救急隊員の資格を得てしまいました)、その後救急U課程を受講し、救急救命士の資格を取得してはや5年が過ぎました。
 このお仕事の大変なのは日々進歩している事でしょう。この医学的進歩に遅れないように本を買って読んだり、メーリングリストで情報を集めたり、各種資格(JPTEC・BTLS・ACLS)を取りに行ったり、医学会や勉強会に参加するなど暇とお金がかかります。
 ちなみに私は昨年JPTECとBTLSでインストラクターとして、本州を含め21日間参加をしました。妻には「家の用事では休みを取らないのに、J何とかB何とかでは休みを取るのね」とか、「その意欲を仕事に活かせば給料が上がるかも」など嫌味を言われています。
 私は胸の中で「妻よこれも決して趣味ではなく仕事の一部なのですよ」とつぶやいています。
 でも振り返って見ると昨年は、講習会や医学会、勉強会、札幌での病院研修などで年の10分の1以上は家にいませんでした。今年は妻と子供にサービスしなければ大変な事になりそうです(反省、反省)。
 私のような生活を送っている皆様、家庭を大事にしましょう。

4.まとめ

 私のように小さな町の消防士は、いろいろな仕事をこなさなければなりませんので、救急専従でやって行くわけにはいきません。
 小さな町の消防士はある意味色々な仕事が出来て面白い部分もあります。
 しかし、都会の消防士が大学病院の医師のように専門的なことをしているとすれば、小さな町の消防士は診療所の医師のようにいろんな患者さんを診るかのように幅広く仕事をしなければなりません。そういう意味では都会のように専任で一つの仕事を奥深く追及するという環境ではありません。でも、小さいからと言って都会よりも劣っていても良いとは思いません。
 ある意味自分が背伸びすることもないでしょうし、自分に出来ることをコツコツとやって行けばいいのかなと、消防に入って20年が過ぎた今は思っています。
 目標は都会の消防士ですが、小さな町の消防士も味があっていいのではないでしょうか?自分の基礎をしっかり作って(もういい年なので基礎を作っていては遅いかもしれませんが)、後輩やわが町のためにがんばります。


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