050308 救急事例あれこれ

作:キミタク

 ハーイ、初めまして、「キミタク」ことキミラ・タクヤです。

 40代・男性・身長183cm・体重70kg・股下63cmのジャニーズ系消防士です。
 片田舎の消防ですので、職員全員が消防隊+救助隊+救急隊+αであり通報があったものに対応して出動。時には「カラスや蜂の巣」駆除にまで出動します。消防歴20年を過ぎましたが、少ない現場経験の中から救急現場での体験をいくつか紹介します。

 その1・夫婦喧嘩の巻
 救急車に乗り始めて間もない頃、ピカピカの靴を支給され大切にしておりました。さて、昼食前に119番が鳴り、「夫婦喧嘩で夫が妻を刺した」との通報で先輩2人と出動しました。現着し玄関に入り居間のドアを開けたとき、夫に刺された妻が倒れていました。それは文字通りの血の海・海・海。それを見た瞬間に私の運動神経は緊急停止。さらに一時的、記憶停止回路が作動。その時救急隊長に「ナニヤッテンダー!!」と背中を押され、我に返る始末。どうにかこうにか処置をして患者をストレッチャーに収容。必死の思いで靴を履くと「ん・・・」ジュブジュブと新品の靴から音がします。「なんじゃ〜コリャ〜」ご想像の通りでございます。帰署後、足を洗い新品の靴と靴下を捨て昼食をとる元気もなく、いろんな意味で疲れました。まあ〜喧嘩の原因は分からないですが夫婦喧嘩って怖いですね!(気をつけないと・・・)

 その2・通報内容を信じるなの巻
 夜の11時頃に119番が鳴り「兄貴が腹を痛がっている」との通報内容で出動しました。現着すると玄関の前に40代の男性が立っていて、「こっちに来てくれ」と言うのでついていくと、家の中ではなく。家の裏にある小屋に連れて行かれました。「なんだか、やな雰囲気がするなあ」「妙〜に落ち着いているシ」すると、小屋の中には警察官の姿が。ちょっと横を見上げると、ナッナッナント、首にロープを巻いた人がぶら下がっているではありませんか。「兄貴さんって、この人ですか」その問いに40代男性は「ハイ!」と一言。「あっ!このぶら下がっている人がお腹痛いんだ〜」と思うわけがない。

 その3・母親の対応の巻
 次に紹介する事例は、2例とも「子供が風呂で浮いている」との通報内容で出動した事例で、バイスタンダー養成の重要性を実感した事例なので紹介します。
 1例目は、約20分もかかる現場で、昼間、子供が風呂場で遊んでいて、母親が気づいた時には浴槽で浮いており、すぐに119番通報。自家用車に子供を乗せ約10分後に救急車とドッキング、直ちに救急隊によりCPRが実施され病院に収容しましたが、残念な結果になってしまいました。
 2例目は、約5分で現着する現場で、夜に親子で入浴し母親が頭を洗っている間に子供が誤って浴槽に落ち、母親が気づいた時には子供が浴槽に浮いていた事例です。この母親は直ちに心肺蘇生を行ない119番通報しました。救急隊が現着し引き続きCPRを実施して病院収容した結果、蘇生に成功しました。この母親は大学時代に心肺蘇生法を受講しており、それを思い出して実施したものです。

 さて、この2例を比べて思うことは、1例目の母親は、自家用車の中で何を思っていたのだろうかということです。我が子に手を差し伸べることができなかったのです。この心情を考えると、その光景を考えると、言葉もありません。
 これは、救急隊が現着するまでの時間の差によって起こってしまった悲しい事例です。その当時は電話での口頭指導等が普及しておらず、今思い出しても残念でなりません。


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