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踊る大捜査線

作:おた ゆうし

小さな田舎町の事件をここに紹介します。

事件ファイル1 交通の遮断

 「救急指令 町道で車対車の交通事故 けが人1名 警察からの通報!」
 現場に向かう車内の中で「通報内容から高エネルギー事故考えられるよ!」なんてテンションあがっている僕。一応JPTECのインストラクターである・・
 まもなくして現場到着!「関係者の方どのような事故?けが人は1名?事故車両は?」マニュアルどおりの完璧な状況評価である。続けて「警察官への通報は?」っていうか警察官からの要請だったっけ?辺りを見回すが警察官がいない・・いくら田舎町とはいえ通勤時間帯である。数日降り続いた大雪で車幅は狭いし・・ちょっとだけ渋滞している・・あらあら大型バスまで来ちゃったよ・・結局、バスを使用して交通の遮断をするはめに・・ギャラリーの見物人も今日だけは大活躍である!「おじさんそこのオレンジの板持ってきて!反対側から車が来たら危ないから止めてよ!誰か救急車から毛布持ってきて!」町民総出でなんとか救急車内へ収容し病院へ。帰署途中、赤色灯を回し颯爽と事故現場へ向かうパトカーが・・事故発生から50分が経過してからのことである。聞くところによると事故現場が把握出来なかったとか。ということは50分もの間、署内で大きな地図を広げてあそこだ、ここだとやっていたに違いない。
 織田裕二ならこう言うだろう
「事件は会議室で起こってるんじゃない!現場で起こっているんだぁ?!」と

事件ファイル2 自殺?他殺?

 「救急指令 ホテル客室内で 自損事故 警察からの通報!」
 仕事柄、いろいろな人の死に立ち会うことが多い僕だが、その中で最も嫌な現場である。ため息をつきながら現場到着。当然の事ながら警察官は来ていない。もう慣れっこである。動揺している従業員を落ち着けながら客室へ(一番落ち着かなくてはいけないのは僕であるが)どうしても事務的になってしまうこの瞬間・・「呼吸・脈なし、死斑・硬直あり、瞳孔散大」残念ながら搬送の適応外である。でも自損って決まったわけではない。しかしながらその辺を捜査するのは警察官の仕事である。私達は部屋の物を触ることも出来ない・・5分、10分いったい何十分待っただろうか?交番所長さんが軽パトカーで登場!嫌な予感・・
 所長さんは客室には向かわずにフロントの奥にある事務室へ・・ソファーにどっかりと腰を下ろし、私にむかって「どう?だめ?事件性はない?」って・・お?い自分で確認しに行けよ!救急隊員は死亡確認は出来ないんだぞ?続けて携帯電話で本署に連絡する所長さん。「あ、ご苦労様です。交番の○○です。いやぁ?仏さんみたいですので応援お願いします。え!課長さん昼食摂ってるの?じゃぁ?終わるまで現場で待ってますので」
 しつこいようだが織田裕二ならこう言うだろう
「事件と昼食どっちが大事なんすかぁ? すみれさん!何とか言ってやって下さいよ!」と

 近年、救急業務の高度化に伴い地域のMC協議会を通して救急隊員と医療機関との間に密接な関係が出来つつある。一昔前までは考えられなかった事である。今後、我が田舎町では消防と警察の連携体制(顔の見える関係)を早急に整えなければならないと考える。全ては町民のために・・・
 我が田舎町にも織田裕二がいてくれたなら・・・


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