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060606ありがとう・・

作)未だ冬眠中のヒグマ

 医療資源に乏しい地方の田舎町の救急隊の業務で大きなウエートを占めるのが、高次医療機関への転院搬送です。外傷、急病に関わらず重症例は必ず転院搬送となります。大都会であれば10数分も走れば救命センターにたどり着くのでしょうが、地方の田舎町では救命センターなどなく、一番近い2次病院ですら1時間以上も緊急走行するなんてのはざらで、それならドクターヘリという手段があるじゃないか?と思われるかも知れませんが、基地から遙か遠い我が田舎町はエリア外・・・(××)緊急度の高い傷病者搬送の際、ついついアクセルペダルを踏む力が強くなってしまうことも・・・
 緊急走行といえど、救急車の制限速度は一般道80km・・・でもこれじゃ一般車両に追い越されてしまうのが地方の現実・・・(傷病者の家族に怒鳴られた事も多々・・・遅い!救急車がのろのろ走ってどうすんだ!)
 安全第一・・・しかし時間が・・・

 ある時、循環器の疾患で緊急度の高い救急事案がありました。
 出張中の方が、具合が悪くなり自力で近医受診したものの、処置困難で転院搬送の要請・・・
 いつも行く一番近い(といっても80キロ離れている)2次病院が手術中で受け入れ不能・・・さらに二十数キロ離れた2次病院が受け入れ可能とのこと・・・
 医師は
「かなりやばい。急いでくれ・・・1時間持つかどうか・・・」
うわあ・・・先生100キロ以上あるんだぜ・・・通常一時間半はかかる〜・・・
「とにかく急いでくれ!」
田舎道で交通量が少ないのも幸いし、思ったよりも早く到着・・・。
待ちかまえていた医師団が
「早かったね〜お疲れ様。我々も頑張るから。」

 後日、搬送先から返送された初診医コメントとして、
「早く到着したのが良かったです。あと少し遅れていたら厳しかったでしょう。ありがとう!」
の文字。
 その後しばらくして、偶然本人と家族にあう機会があり
「先生から聞きました。あのとき、かなり急いでくれたそうで。おかげさまでこの通りです。本当はいけないんでしょ?でも、本当にありがとう」

 急ぐという安全管理からすると、やってはいけない事でしたが、傷病者の元気に歩く姿と笑顔を見ることができたのは良かったです。
 上司にはしかられましたが、医師と傷病者からは感謝されました。このような経験をされている救急隊員は全国に数多くいるのでは?特に、救命センターから離れている地方の救急隊であれば一度や二度は・・・格差が世間の話題になっていますが、医療を受ける格差はなくなって欲しいと願います。
 せめて、ドクターへりのエリアが拡大すれば救命率は上がるはず・・・


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06.10.31/11:14 AM