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060606いじめるな!

作)夜も寝てるシマフクロウ

 急遽、代替勤務となり救急隊配置となった日のことです。
 夕食後の休憩時間も終わり、デスクワークをしていたところ119番入電。
「・・・泡吹いて倒れてる。救急車で病院まで運んでくれ・・・」
受信者は場所の特定に苦慮している様子・・・どうやら通報者も様子がおかしいようだ・・・

「何だろう?」と考えながら救急車に乗車し出場。「飲酒?」を頭の隅に置き現着。
「こんばんは!救急隊の○○です。入っても良いですか?」
「おう!来たか!早いとこ頼むじゃ!婆さんひっくり返ったっきり泡吹いて動かん!ひっ・・!」
「おやおや?かなり酩酊してるなあ・・・」
居間にはこの家の家主である、高齢者の女性が仰臥位で天井の1点を見つめている。嘔吐の跡がある。失禁、出血、外傷、四肢変形はない。
「もしもし○○さん!わかりますか?」
「○×△□◇?・・・」
「何かを訴えてはいるのだが、言葉になっていない。(聞き取れない)」
さかんに嘔吐する。
「吸引器!準備。」
出るわ出るわ、透明の液体が次から次へ・・・」
吸引ビンはあっという間に一杯!
「何時頃から飲んでたのですか?」
「あっ?知らん!わっかりましぇ〜ん!・・・寄り合いがあって明るいうちから、みんなで飲んで、家に帰ってきてもずっと飲んでたんだ!いま、何時だ!」
「もうすぐ夜の8時半ですよ・・・」
「そっか・・・おい!何やってんだ?」
「吐いてるので、のどつまりしないように吸い取っています。」
「そっか・・・なんだその機械は!おい!なんで口にいれるんだ。鼻にまで・・・やめろって、何、みんなで婆さんいじめてるのよ!」
(ん?いじめてるって?)
「いじめてるのではなく、応急処置をしているのです。」
「そっか・・・おい!いじめるなって!かわいそうだべや!」
(どうも、この方には寄ってたかっていじめてるようしか見えないようだ。)
たしかに、図体のでかいのが3人も取り囲んでたら、いじめてるように見えるかも・・・)

 嘔吐がおさまったところで、搬送開始。
「これから○○病院に行きますから。家族の方もあとで来てください」
「おう。わかった・・・」ずっずん・・と音が・・・
「ありゃま!こっちもひっくり返ったよ!」
「大丈夫ですか?」
「俺は大丈夫だ!婆さん頼む!」
心配してかけつけていた、近所の住民にその場を頼んで病院に向かいました。

 いままで、何回となく吸引器は現場で使っていますが「いじめるな」といわれたのは初めてでした。
 我々が良かれと思ってしている応急処置等も、別な視点から見ると全く違って見えるものなんだということを改めて感じた症例でした。
 傷病者のおばあさんは、翌日何事もなかったかのように元気に町を歩いていました。(⌒⌒)


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06.10.31/11:14 AM