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こんなところに

作)2ストライダー

 ある日の夕方、バイクの単独転倒事故で路外に転落していると通りがかりのライダーさんから連絡を受けたと警察からの通報で、救急出動しました。自分の勤務する消防では、勤務者が少ないので、マンパワーが必要な交通事故などの通報が入ると休みの職員を呼び出して出動しています。今回もそのパターンで出動しました。連絡をくれたライダーさんが、現場を離れてしまっていたため、現場の特定に時間がかかりました。出動した救急隊と警察で現場付近を捜し、傷病者とバイクを発見しました。

 現場で観察と処置を実施、手足にしびれを感じていたので脊髄損傷疑いということでバックボードに固定し車内収容しました。バイクに積んであった荷物を、警察の協力を得て救急車に積み現場を出発しました。患者さんは、バイクでツーリング中の事故、体に力が入らずその場から動けなかったようです。救急車のサイレンを聞いて「ほっとしました。」と、話してくれました。病院に到着して、患者さんを処置室へ、医師への引継ぎ、バイクの荷物を降ろしました。その後、約100km離れた2次病院へ転院搬送となりました。と、ここまでは何も問題なく無事に活動が終了しました。

 問題はこの後に発生しました。この救急出動から約1ヶ月後、救急車の清掃を行っているときのことです、運転席の座席の下に黒い物体が見えました。なんだろうと思い手に取ってみると、それは黒い革製の財布でした。とりあえずうちの職員の物かと思い、確認しますが職員の物ではありませんでした。ということは、救急搬送した患者さん、もしくはその関係者の方のものだろうということで、警察に連絡し財布の中身を調べようということになりました。すると財布の中に、レンタルビデオの会員証が入っており、名前が書いてありました。救急出動報告書を調べてみると、上記のバイク事故の方の物であることがわかりました。

 早速、出動報告書に記載してあった連絡先に電話しました。電話には患者さんのお母さんが電話に出てくれました。すると「事故から1ヶ月も経って、財布が見つかりましたとは、何事ですか?もっと早く連絡するべきでしょ」と、ごもっともの返事が返ってきました。家族の方がこの事故のことを忘れたいと思っていたところに、この電話をしてしまったので家族の気持ちを逆なでしてしまったようです。どう考えてもこちらのミス、深く謝罪して財布が見つかるまでの経過を全て話して、なんとか納得してもらいました。話を総合してみると、どうやら事故当時着ていた上着のポケットに財布が入っていたそうで、その上着を救急車の運転席の後ろに載せたときに、ポケットから落ちて運転席の下に入ってしまったようです。住所と名前をもう一度確認して、送ることになりました。

 偶然とは恐ろしいものです。まさか座席の下に財布がもぐりこんでいるとは思いませんでした。このことをきっかけに、患者さんの持ち物の取り扱いには今まで以上に注意しています。また救急車の清掃の際には、座席の下も確認するようになったのは、言うまでもありません。


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06.12.29/9:29 PM