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070904犬も食わないお仕事

作)親方の父

 現場でカウンセリングみたいなことをしてきました。どっと疲れましたわー。

【家族構成】

夫:離婚したい。単身赴任中。週末のみ帰宅しているらしい。概ね35歳くらいか。
妻:職場結婚だったらしい。若干鬱があるらしい。離婚したくない。30代前半。
子:小学低学年くらいの子供一人・・・奥の部屋からちょろちょろ覗いている

【内容】

 休日だったので、子供が寝たのを見計らって話合いをしたそうな。離婚話がもつれて、妻が15階ベランダから飛び降りるそぶりを見せたそうな。それを夫が押さえて119番通報。
 到着時、夫妻はどちらも落ち着いている。全く普通の精神状態。

妻「夫婦間の話なので救急隊は結構です」(そりゃそうだわな)
夫「飛び降りるそぶりを見せたので押さえました。どこかの病院に連れて行って朝までまたは1日置いてもらえませんか」(んんー)
(隊員は妻に簡単な状況聴取とバイタルサインの測定・・・。後に、会話も全く正常でバイタルサインも問題なしと報告を受ける)

(私は別の部屋で夫と話を・・・)
私:「奥さんはいまの精神状態では抑制して連れて行くことは出来ません。病院搬送も本人同意が必要です。また搬送しても入院や朝まで病院にいられるかどうかは診察医師の判断によるので保証は出来ません。救急隊はお力にはなれません」
夫:「私、平日は○○市で営業をしておりまして、忙しくて話し合いの機会がなかなかなく、休日の今夜、子供が寝た後(しっかり起きていたが)話し合いをしました。妻は別れないの一点張りで、この後も飛び降りられようものなら心配で心配で。とにかく病院に行けませんか」

(妻がこちらの部屋にやってきて・・・車座になって話し始める)
妻:「夫は 離婚したいの一点張りです。私のことなんか心配していません。勝手なんです。」
私:「まぁまぁ奥さん、ご主人さんは本当に心配していますよ。」
妻:「本当に勝手なんです。」
(本当は会話のやり取りが相当合ったが省略。その後、しばし沈黙・・・)

妻:「ところで、夫婦仲良くするには、どうしたら良いですか。救急隊さんの家でも奥さんと喧嘩するでしょう?どのようにしていますか」
私:「まぁうちは私が言いたいことを言って妻が黙って聞いていますが、先に謝るのはいつも私です。(ってなんでそんな話に?)」
妻:「そうでしょう!(なにが?)このひとは体裁ばかり考えて私の心配なんてこれっぽっちもしていないんです」
夫:(黙ってしまう・・・)

 その後、友人の離婚話や、話し合いの際は双方の友人のような第三者を入れてエキサイトしないように話し合うこと、子供は親等に預かってもらいそのような修羅場は見せないこと、飛び降りるようなそぶりを見せないこと(公序良俗に反するので強制的に搬送するかも・・・と若干の脅しを加えつつ)、自治体の精神保健福祉センターに相談すること、休日夜間でもやっている病院を紹介してくれるかも、また直接奥さんが話せばカウンセリングも電話でしてくれるかもしれないし、してくれないかもしれない・・・、とにかく子供のことを双方がよく考えること、そして、今は救急隊の出来ることはこれ以上はありませんと・・・

私:「他にも相談はありますか。あれば何でも言って下さい・・・何かありますか(ここまで約2時間30分)」
妻:(納得して)「帰っていいです。長々と救急隊さんに申し訳ない」
夫:(あまり納得していない様子)「わかりました」
夫:「でも飛び降りられたら・・・寝ないで監視するわけには行かないし(いいえ、寝ないで監視してください)」
私:「奥さんが今後そのようなことは絶対にしないとご主人と救急隊3人の前で約束して下さい。」
妻:「約束します」

 そして、救急要請者の夫も納得の上で不搬送で帰ってきた。・・・少し心配。

 やっぱり犬も食いませんわ


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07.9.4/9:33 PM