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071103セミナーを切る 其の一

作)山いるか


100417還暦のロックスター セミナーを斬る 其の二 セミナーを切る 其の一 「S・A・H」 初夏の風 星になれたら 外傷性ショックって、何!? 


 はじめて外傷セミナーを受講したのは平成14年の5月だった。

 北海道の5月は春と言っても肌寒い。しかし、セミナーは熱かった。「北海道外傷セミナー」と銘打たれたこのセミナーには道外からも多数のインストラクターが参加していて、伝えたいと思っている人達、吸収したいと思っている人達の熱気で溢れていた。

 セミナーの内容にも驚いた。当時、消防で訓練といえば操法だった。ところが部屋にはいると青白い顔をした人間が血を流していて、服を脱がすと患部と思しき場所が変色している。おまけに触ると痛がる。これには新鮮な驚きと冷や汗を存分にかいた記憶がある。

 講義も理論的でそれでいて熱く、救命士資格を取ったばかりの田舎者に衝撃を与えるには充分すぎた。ショック状態の患者を観察する際の戒めとして、「木を見て森を見ず」という言葉を聞いた時の強烈な印象は、若い頃に外傷性ショック患者で苦い経験をしていた僕に深く刻まれた。柄にもなくセミナー修了式では目頭が熱くなり、「プロバイダー」という言葉に妙な責任感を覚え、その後はPTCJ普及に道内を奔走する羽目になる。

 程なくして晴れてインストになると、今度は「成人教育技法」なるモノと向き合わなくてはならなくなる。受講生には笑顔を振りまき、明るい雰囲気作りなど消防では考えがたい雰囲気がセミナーには流れる。厳つい消防職員が、みな明るくて優しいナイスガイに変わるのだ。

 とにかく「笑え」と言われていたが、どうも自分には納得できなかった。変なポジティブフィードバックってどうなの?わざとらしい冗談も仕込みも、身内受けの範疇を超えていないんじゃない?

 とある消防本部主催のセミナーでこの思いは確信に変わった。全員隊長クラス、職命参加、ガチンコだった...。

 本当に必要なのはインストラクション技法ではなくて伝える側の正確な知識と熱意だと言ったら、「古くさい」と笑われるだろうか。インストラクション技法やキャラクター作りだけにこだわってる訳じゃないと思うが、インストになる事がファッション化してはいけないのだ。何だか「成人教育技法」をはき違えてる人が多いような気がする。

 もう一つ、当初はとにかく指導経験がモノを言うと思っていた節があり、余計に全道各地を奔走していた。当然、有給処理も増えたし、勤務交代も「申し訳ない」と言いつつ、どこか正論付けてセミナーへと参加していた。

 これも今思うと、地方に出向いてばかりで職場に影響が出ては本末転倒だった。最近では余計に人材がいない訳では無いし、何より地元に還元すべきだ。セミナーのために活動するのではなく、現場のために活動すべきだと思っている。

 ともあれ組織が大きく変わった現在も外傷セミナーは試行錯誤を繰り返し、受講者が納得のいくセミナーを目指している。JPTECやITLSといった名前を出さなくても、現在の消防救急ではそれに倣っているのが事実だ。JATEC、JNTECと医療機関との整合性もあり、システムの整備は「人」を中心に進んでいる。

 伝える側の中心にいるのも消防職員なら、その向こうにいるのも消防職員が中心だから自分の職場との調整も重要だし、一に家庭、二に職場、三、四が無くて五にセミナー。基本忘れるべからず...っかな。


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10.4.17/12:45 PM