OPSホーム>救急隊員日誌目次>080106セミナー。まあ、とりあえず

080106セミナー。まあ、とりあえず

作)キトピロ

 セミナーに参加したことはありますか。JPTECとかICLSとかの活動プログラム講習会のことです。他の所属の人たちに聞くと「まあ、とりあえず」と言われます。

 最近こんな事例を経験しました。「納屋の軒下に人が倒れてうめいている」と119番入電でうちの救急隊が出動しました。現着すると男性がうずくまっていたそうです。屋根にははしごが立てかけてあったので、恐らく屋根から転落したのでしょう。目撃者もなく関係者もいないので詳細は分かりませんでした。記録では現着から30分後に現発して直近の病院に搬入されたのですが、そこでも治療できず搬入後1時間以上経って高度医療のできる病院へ転院となりました。二次医療機関まではおよそ30分の距離です。15分ほど走行した時点で患者の容態が急変、心停止となったそうです。同乗医師と協力し蘇生処置を行いつつ沿道の医療機関に搬入しましたが救命はできませんでした。

 JPTECセミナーではロードアンドゴー、ゴールデンアワーをしつこいほど教えます。この事例でも救急隊員の二人はJPTECのセミナーを受講していました。でも実際はどうでしょう。現場滞在時間が長いのに全身観察ができていません。全身固定もしていませんでした。滞在時間が長かったのは関係者を捜していたという話もあります。確かにセミナーでは必ず関係者がいますが、関係者がいなくても活動できるはずです。トラウマバイパスもセミナーでは教えています。なのに地元の病院に1時間滞在しています。JPTECは現場に生かされていないのです。

 セミナーと所属との関係はうまくいっていないような気がします。活動の中にJPTECもICLSもうまく取り入れられていないように感じます。これには、受講した私に、所属へ浸透させる力が足りないせいもあるのですが、MCの考えと現場とうまく整合性が取れていないのが一番の原因と思うんです。MCの検証医からは「外傷はJPTECに基づいて検証しますから」「内因性疾患はICLSに基づきますから」と言われています。検証医にとっては当たり前のことなのでしょうね。でも、救急隊員はセミナーを受ける義務はないんです。なのにMCはそれに基づいて検証する。総務省からもセミナーに基づくのが望ましいというような文章が来ていたような気がします。なのに所属の活動基準にないんですよ。積極的に取り入れているところもあるようですけど、そうじゃないところもある。一生懸命な人がいるところは進んで、という簡単なものではないんです。担当部署が積極的に取り入れてくれないと。セミナーに携わった人が積極的に動こうとしても、「お前は担当が違うので余計なことやるな」と上から言われます。私だって一応お披露目はしたんですけどね。それで何人か食いついてコースに参加してくれたんですけど、結局それで終わりです。セミナーが地元に役立つことはありません。

 どうしたらいいんでしょう?公費でセミナーを受講させているところもあるようですけど、嫌々行ったってちゃんと身に付くとは思えないし。いっそのことセミナー受講で得られる資格を、救急隊員の資格の中に入れちゃえばいいんじゃないですか。アメリカのように救急隊員資格を更新制にするんだったらそういうこともできる。でも日本じゃ一回資格を取っちゃえば、「もう勉強したくない」って公言していても働けますから。だからいつまでたってもセミナーは「まあ、とりあえず」なんですよ。


ご意見いただきました

「内因性はICLSという理解は間違いだと思います。消防現場でICLSによって活動する部分はありません。BLSなら昔から消防職員の中でトレーニングしていますし、ACLSの分野に関しては消防では参考に過ぎません。気管挿管、薬剤ではその課程でトレーニングしますが、ICLSではありません。新しい心肺蘇生法の基準に則っているだけです。だいたいCPA患者に関しては、MCで示された内容が職場できちんと伝達できていないのが原因です。」


OPSホーム>救急隊員日誌目次>080106セミナー。まあ、とりあえず


http://ops.umin.ac.jp/

08.1.6/9:46 PM