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080209救命士さん?

作)ゆうたん

 知り合いと仕事の話をする時に、救急車に乗っている事を話すと「救命士なんだね、凄いね。」等と言われる事が多くなりました。

 私は標準課程修了者で、特定行為を行うことは出来ません。しかしテレビの特番に出てくる救急隊員は救急救命士ばかりで、画面には挿管やルート確保を手際よく行っている姿が映し出されています。何も知らない一般の人から見れば、救急隊員というのは救急救命士と目に映るのも、無理はない事なのでしょう。

 一般の人から見ると、消防職員と消防団員も同じに見えるようで、私達が驚くほどその違いは知られていません。救急救命士と標準課程隊員の違いを説明しても、当然違いを理解出来ないようで、ほとんどの人は、救急隊員は全て標準課程隊員でも同じ処置が出来るとも思っているようです。最近では病院へ搬送後、関係者からお礼の言葉をかけられる際にも「救命士さん、ありがとうございました。」と言われる事が多くなりました。

 テレビの特番等を通じて、我々の仕事に親しみを持って理解を示してくれる人が多くなった事は、私たち消防人にとっては非常にありがたい事です。しかし、救急服を着ていれば救命士さんと呼ばれ、救助服を着ていればハイパーレスキューと声をかけられ、戸惑う事が多くなりました。

 私が勤務している所属は、職員十数人で全ての業務を行っています。救急救命士として乗務できる人は現在一名しか居らず、出動のほとんどは標準課程隊です。オレンジの救助服を着て救助現場へ赴いても、救助課程修了者でない人も居ます。しかし我々を要請する人は、テレビに映し出されるハイパーレスキューや救命士のような人が来てくれたと思っているようで、出来ない事に関して「同じ消防(救急隊)なのに何故できないのだ」というニュアンスの事を言われる事もしばしばです。

 私は救急に乗るなら救命士になりたいと思っていたので、養成機関への入校希望を出していましたが、予算や勤務人員の都合から、先延ばしにされていました。そしてここ数年の地方財政の悪化で、完全にその道は閉ざされてしまいました。

 将来的に、救急隊員は全て救命士となる日が来るのでしょうが、まだまだ地方においては、救命士が乗務出来ない隊が数多く存在します。救命士の公休日の移動に制限を設けて、特定行為が必要な事案が発生した際に非番召集を行っているところもあるようです。

 現在私の署に入ってくる新人は、救命士の免許持ちばかりなので、いずれは我が署でも全ての事案に救命士が乗務できるようになるはずです。隊長として救命士に「しっかり処置をやれ。」と指示を出す事もありますが、自分が行えない処置に関して指示を出すことに戸惑いも感じています。同じ救急隊員として、関係者から高度な特定行為を期待されても、隊員に救命士が乗務していなければ行う事が出来ません。

 特定行為をしてあげたいけど出来ない、特定行為を出来るようになりたいけどなれない。そんなジレンマに悩まされる事が多くなりました。救急の高度化が叫ばれていますが、救命士ばかりではなく標準課程の隊員も、より高度な処置に少しでも近づけるよう、教育の機会が増えてくれればと願っています。

 そして今日も「救命士さんありがとう。」と声をかけられています。


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08.2.9/12:20 PM