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080306不条理の世界

作)Stand Up

 小さい頃から憧れた消防職。合格通知は本当に嬉しかった。半年間の初任教育で進むべき人生を再確認し消防に戻ってきた。しかし、訓練はやらない!やった事がない!土曜・日曜日は二日酔いを癒す長時間の昼寝タイム!
 完全に入る消防を間違えたと思った。
 実家に帰り「こんな所は消防じゃない!違う消防の試験を受ける!」と相談。しかし当然のように「お前みたいな馬鹿が2度も受かるわけないだろ」却下され追い返された。
いつかは変わるだろう。頑張るしかない。そう思い頑張ることにした。

 こんな状況が何年続いただろうか。
 署長が交替した。自己中心的な考えを持つ新署長の、就任挨拶の締めくくりはこうだ。
「まさかとは思いますが、この職場で賭け事をやっている人はいないですよね。町民はどこで見ているか分らないので絶対にそんな事はしないように」
 お前だろうが!数年前に怖い顔したおじさんが黒い車であんたを尋ねて来たろうが!!

 経年が増すにつれ、自己中心は独裁政権へと変貌を遂げていった。計画起案も「私が決裁権者ですから」の一言でことごとく廃案に。職場に来ても、気に食わない職員には「あんた!何やってるのよ!」
とたくさんの職員の中で集中的に八つ当たり。極めつけは自宅のすぐ近くに強引に新築庁舎を建築したことだ。
 しかしある日突然、その署長は依願退職してしまった。何か問題を起こしたらしい。若い自分には町民の冷たい視線より、これで独裁政権が終わることが嬉しかった。

 次の署長が就任した。
 日頃から、仕事には厳しく、私生活では若い職員を可愛がってくれた人だったので期待も大きかった。就任挨拶でも「みんなの意見を聞き、良い職場を作って行きたい」とも言ってくれた。上司の中には「上に立てばみんな前と同じようになるんだ」と陰口する人もいた。でも、俺は信じた。
 しかし、上司の言葉がどんどん現実となっていくことが分っていった。
 決定的となったのが、職員の全体会議で、職員でまとめた意見を署長に話をした時だった。
「署長。職員間でこのような意見にまとまったのでお願いします」
 すると愕然とする返事が返ってきた。
「みんなで協議した意見がそうであるなら認めよう。しかし、お前達の考えがそうなら、俺にも考えがあるからな!」と退席。それからは覚えのない請求書が数多く担当係の机に積まれることになった。
 独裁政権再来であった。

 これを不条理の世界と言わずして何と表現すればよいか?
 全国をみてもこれ以上の不条理はあるのか皆さんに問いかけてみたい。
 地域間格差以前に、消防間格差、人間格差である。
 そんな中で今日も頑張らなきゃいけない。独裁政権の崩壊を待ちながら・・・・・。


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08.3.6/9:53 PM