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080413お年寄りは大切に

作)パパは子供のヒーロー

 我が職場では緊急通報システムを導入して、高齢者世帯や一人暮らしのお年寄りのお宅に設置しています。一人暮らしのお年寄りの場合は本人の希望があれば合鍵を消防で預かっており、救急要請の際に玄関に鍵がかかっていて家の中に入れないような場合などに活用させて頂いています。緊急通報システムには相談ボタンもあり、相談事がある場合はそのボタンを押すと消防の一般加入電話につながるように設定されていますが、お年寄りの中には高齢と入れ歯により上手く発音できず、相談ボタンで通報があっても、何を言っているのか判らない場合もあります。

 とある日の夜20時過ぎにあるお年寄りから相談の通報がありました。一生懸命お話してくれているのですが、肝心なところが聞き取れず何を言っているのかわかりません。
「電話では上手く聞き取れませんので、今から伺います」
と言うと
「来て下さい」
とのこと。お家に行ってみると、どうやら寝室の蛍光燈が点かないらしいのです。接触の悪かったところを修理してあげて署に帰ろうとすると、そのお年寄りが何か言っています。僕は上手く聞き取れずに何度か聞き返しました。お年寄りは上手く伝わらないもどかしさからか声を荒げて
「茶の間の電気を消してから帰れ!」
と怒られてしまいました。わざわざ蛍光燈を直してあげて帰るときには怒られるとは・・・心の中で最近のお年寄りはなかなか逞しいなぁと思いつつもご本人には
「合鍵も持ってきていますので、茶の間の電気を消して、玄関も外から鍵を閉めて帰ります。ゆっくり休んで下さいね。」
と優しく声を掛けて帰りました。

 わざわざ出向いてそこまで丁寧に対応しなくても良いのでは?と思われる方もいると思います。でも、以前そのお年寄りから消防に相談通報があり、物凄く慌てていて一方的に話して電話を切られてしまったことがありました。僕には何を言っているか判りませんでしたが何か緊急の事態が起こっているような印象を受けたので、急いでそのお年寄りの家に行ってみるとガスコンロの脇でプラスチックの箸立てが燃えていました。急いで火を消しましたがお家の中はプラスチックが燃えて発生した匂いがたち込め煤が舞っていました。そのお年寄りは白内障で視力も落ちており、ガスコンロの側にあった箸立てに気付かずにお鍋を火にかけてしまい、危なく火事になるところでした。それ以来、そのお年寄りからの相談通報の内容が上手く聞き取れない場合は出向いて現場を確認してから対応しています。

 田舎の消防では上記のような事にも対応しています。消防の本務である火事と救急、救助に対応するために労働条件を満たした勤務体制をひくと、町の人口規模に関わらず一定の職員数が必要となりますが、田舎町では年間の救急件数は百数十件程度、火災も年間4件前後という状況では、住民からの理解を得るためには火事・救急・救助以外にも住民に貢献していかなくてはなりません。今日も田舎の消防ではこうした住民サービスが行われています。


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08.4.13/10:52 AM