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090707常連さん

作)たんぽぽ


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 どこの所属でも頭を悩ませているであろう、いわゆる「常連さん」。日本の世相を反映しているのか、高齢者からの軽微な要請が後を絶ちません。「今日はどうしたのですか?」と、通報時に尋ねるような頻回利用者が、私の住んでいる田舎町にも複数存在しています。

 高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が社会問題にもなっていますが、70代の老夫婦世帯で、二人とも介護を必要とする世帯があります。施設へは入所出来ないらしく、町営住宅に住んでいます。ある日の昼下がりの救急要請、「妻が動けない。」という内容。通報内容は曖昧なものの、どうやら動けないのは確かな様子。重篤である可能性も考慮に入れて現場へ急ぐと、そこにはベッドから転落したまま動けない奥さんの姿があります。観察したところ、普段と変わりありません。そうなのです・・・ベッドから落ちて起き上がれなかっただけなのです。我々救急隊の手を借りて、ベッドに戻して欲しかったとの事。厳重に注意して帰署となりました。

 ある60代夫婦の世帯では、旦那が要介護状態。妻から頻繁に要請があり、かかりつけの診療所へ収容となりますが、入院を要しない症状の為、いつもすぐ自宅へ戻る事になります。要請され奥さんに接触すると、「入院させてくれる病院へ運んで下さい。」と言われます。どうやら、介護に疲れ、その介護から解放されたくて救急要請となるようですが、哀しそうな旦那さんの目を見る度に、複雑な気持ちになります。

 また、別の独居の70代男性は、いつも昼間から酒に酔い街中で寝込んでいるところを通りかかりの人に発見され、頻繁に救急要請されます。自転車で転んで倒れて動かない、転んで起き上がらないので怪我をしているのではないか等、通報内容は様々ですが、観察すると怪我もなくただ深酒で寝込んでいるだけ。時には目を覚まし、「救急車を呼んだのは誰だ。」と怒鳴り、搬送拒否となる事もあります。町内には子供夫婦の世帯もあるのですが、一緒に暮らす事も出来ないのか、町営住宅に今も一人暮らしです。

 頻回利用者の社会的背景や、家族との関係等は様々ですが、共通しているのは、身近にもう少し面倒を見てくれる人が居れば、要請には至らないだろうと思われる通報が多い事が挙げられます。時には、役所や関係機関と協議の場を持ち、対応策を講じて本人へアドバイスする事もあります。タクシー代わりの悪質な頻回利用者とは質が違い対応にも苦慮し、根本的な解決策が見いだせないままでいます。

 自分の家族だったらと考えると、いつも複雑な気持ちになります。


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10.2.7/4:36 PM