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100817人の大きさ

作)ニーハオ!

 自分の勤務する町は過疎の小さな△○町。町には病院が1件しかなく、重傷患者が発生し病院へ搬送すると、治療困難で別な大きな病院へ転院搬送することが多々ある。搬送先の約8割は、約100キロ離れた町の○×病院である。ある時、その○×病院の院長先生が△○町に来て医療関係者を講演会を開催してくれることになった。講演内容は脳卒中ということで、我が救急隊も参加させてもらった。講演中、こちらの質問にも丁寧に答えてくれ、とても気さくな先生だった。

 数日後、いつもお世話になっていて、講演会も聞かせてもらったことから、職場から院長先生にお礼をすることになった。その週末に○×病院に、たまたまある人の見舞いに自分が行くことが決まっていたので、私がお礼の品を届けるのである。

 見舞いは日曜日だったため、病院の事務受付は休み。どこへ届けたらいいかわからなかったので、見舞いに行ったフロアのナースステーションに事情を話しどこへ届けたら良いか訪ねた。対応してくれたのは若い看護師さんで、どうしたら良いかわからなかったらしく、奥にいた先輩看護師さんに確認してくれた。そしたらその先輩看護師さんがいきなり
「あなたは誰ですか?それとこの中身はなんですか?」
と、えらい剣幕で怒鳴られた。
「△○救急隊の○×です」
「なんだ、田舎の救急隊か。裏口の夜間受付に行きな。忙しいんだから、こんな物ここへ持ってこないで」
とさらに怒られた。
(おいおい、持って行く場所がわからないから聞いただけなのに、何故こんなに怒られなければならないの。おれが田舎の救急隊だから?そんなの関係ないだろう!)。
あまりにもひどい対応だった。

 疑問に思いながら言われた裏口の夜間受付へ行ってみた。受付で対応してくれた方に、事情を話しお礼の品を差し出した。そうしたら
「あらー、△○町からわざわざ来て頂いたんですか。ありがとうございます、後日院長先生に渡しておきますね。」
とすごく丁寧な対応だった。同じ病院の中なのに、全然対応が違う。

 その数日後、1枚の葉書が消防へ届いた。それは○×病院の院長先生からであった。多忙であるはずなのに、直筆でお礼の言葉が書かれていた。さらに
「消防と病院は、患者さんを助ける目標は一緒です。これからも一緒に頑張りましょう。」
とも。仕事の合間を縫ってわざわざ葉書をしたためてくれた院長先生の「大きさ」の前に、ナースステーションで対応してくれた看護師さんのことを「この対応はないだろう」と怒っていたた自分の「小ささ」をひどく恥ずかしく感じた。


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10.8.17/8:26 PM