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100923いつもの救急隊員さんだからきっと大丈夫

作)DIYマン

 正午過ぎ、昼食のそばを二口ほど食べたときであった。出動指令が流れた。すぐに箸を置き出動の準備にかかった。

「何回か行ったOO宅だ。結構遠いぞ」

 確か持病を持っている子供がいたはずだ。指令書をよく見るとCPAの文字。ドクターヘリを要請しながら出動した。

 現場到着直前に、ドクターヘリは天候不良でフライト不可能の連絡が入った。隊員みんなに「陸で運ぶぞー」と声をかけた。自分に気合を入れているようであった。

 現場到着すると玄関前に母親らしき人が立っていた。傷病者はその家の子供であることはつかめたがそれ以上は話せない状態だったので、すぐに家の中へ入ると、その子供のおじいちゃんらしき人が胸を押していた。現場へ向かう途中の車内で口頭指導中の無線が流れていたので、きっと口頭指導を受けながら必死に胸骨圧迫をしていたのだろう。観察するとJCS-300、呼吸あり、総頚動脈で脈拍触知可能、呼吸音喘鳴あり。口腔内をカテーテルで吸引しSpO2を測定すると異常に低い。対光反射なし。

 補助換気をしながら、車内収容をしているときであった。現場到着時からずっと付き添っていた母親が、子供の名前を呼びながら、
「いつもの救急隊員さんだから、きっと大丈夫だよ。助けてくれるよ」
と、何度もわが子に声をかけた。

 この親子は私たちを信用している。何とかそれに応えたい。これ以上状態を悪くしないで病院に到着したい。願うような気持ちで搬送した。

 病院までの40分がとてつもなく長く感じた。自発呼吸あり、脈拍あり、対光反射あり。SpO2はかなり上昇した状態で病院内に搬入できた。待ちうけてくれていた医師はその日の担当のフライトドクターで「飛べなくてごめんね。収容の連絡くれるの待っていたよ」と言いながら応急処置が始まった。職業は違っても思いはみな同じだった。意識レベルが上昇し処置が一段落したとき、「よくこの状態を維持してこれたね」と言っていただけた。

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 私は医療はある程度お金で買うものである思う。お金を出せば遠くの有名な病院にかかることもできる。だが、救急医療では患者や家族が決定できない場合がある。ましてや救急隊や救急隊員は選ぶことも指名することもできない。そんな仕事に就いている以上「あの隊員さんなら安心だ」と言ってもらえることは私の目標であり、お母さんの言葉は私の勲章である。

 そして今は〇〇君が元気に退院してくれることを祈るばかりである。がんばれ〇〇君!


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11.9.18/8:02 PM