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110116カムサハムニダ

作)メイ

 固い話になりますが、今年8月で日本による韓国植民地支配となった併合条約により日韓併合から100年を迎えたことをご存知でしょうか?1910年から終戦まで続いた植民地支配で日本は多くの朝鮮人を日本の炭坑やダム建設などで強制労働により犠牲者を出した歴史があります。韓国では日本に対する反感がまだ多く残っている事を新聞やテレビなどで知りました。

 以前、こんなことがありました。

 ある年の冬、地元のお寺で日本と韓国の若者による共同作業として、強制労働犠牲者の調査、遺骨発掘と追悼、共同討議の場(ワークショップ)が開催されました。その一環で、多くの犠牲者の位牌があるこのお寺の屋根に積もった雪の除雪作業が行われました。

 両国の若者がこうした形で力をあわせて互いを理解しあい交流し、新しい人間関係を構築する和解への場へと変える試みでした。この作業中、屋根の軒下にいた男性が上から落ちて来た雪の固まりの下敷きとなり救急要請がありました。

 傷病者は、この男性一人だけで多くの仲間により、すでに救出されているとのこと。

 自分はその現場に救急隊員として出動しました。

 傷病者は本堂にて腹臥位。彼の周りには心配そうに見守っている若者達が取り囲んでいます。傷病者の顔は痛みのあまりしかめている様子です。

自分:「こんにちは?、いちばん辛いところはどこですか?」
男性:「?△??」
自分:「あれれ?」

 そうです。話しはできるのです。でも日本語が通じません。 私にとっては救急現場初の外国人でそれも韓国人、困ってしまいました。

自分:「いったい何語だっけ?」

 周りから通訳を務めてくれる方の協力をお願いし救急車に同乗してもらいました。

 救急車に収容後、50分後に隣町の2次病院に到着。一ヶ月余りの入院をするほどの重症でした。

 この事案から数年後にこのお寺の住職さんとお話する機会があり、その後の経過を聞かせていただきました。傷病者だった男性に代わってありがたいお言葉をいただきました。

・身体中の辛い痛みで苦しんでいるのを救急隊員が優しく処置対応してくれたこと。
・救急車内では通訳を介してだけでなく、お互いに英単語によりある程度の会話ができて、なんとなく通じあえたこと(励ましてくれていることがわかった)。
・入院治療費は全額負担を強いられたが、市民のみなさんからの多くの募金と励ましのメッセージをいただき感謝していること。
・最終的に救急隊や市民のみなさんの励ましをいただいたことで、日本に対する良い印象をもつことができたこと。

 彼は韓国の大学を卒業後、平和のための市民連帯を自分の生涯の課題にすることを決心して、現在、日本国内で元気に市民団体の活動をしているそうです。

 日本の好印象をもたれる一人として、かかわることができて良かったと感じています。


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11.1.16/11:45 AM