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110116心を救う救急隊

作)どうでしょうファン

「先日は救急車で運んで頂いてありがとうございました。 おかげさまで無事退院することができました。」
 救急搬送して数日経ち、傷病者若しくは家族が消防署までお礼を言いに来ることはしばしばあります。
 業務であり、当然のことであるため「わざわざお礼なんていらないのに」と思ってしまいます。
 ただ、昨年経験した「お礼」については、自分の中でも「ちょっと嬉かったこと」として心に残っています。

 それはゴールデンウィークの真っ只中。一般的には楽しい時期ではあるけども、勤務をする救急隊にとっては少し心配な時期でもあります。
 自分の住む地域は、救急輪番制をとっており、その日当番の病院は決まっているものの、その他の病院に運びたい場合は、休みの場合が多く、状態から適応する病院に運びたくても運べない場合が多々あります。
 そんな中、出場指令「80代 女性 腹痛あり」。いつもどおり出場し、傷病者観察、腹痛のため、腹部触診すると・・・ なんだこれは?? 硬いコリコリしたものを感じる。
 消化管破裂等で内容物が腹腔に出ているのではないか? しかも腹痛発症から3時間以上経過している。
 手術のできる病院は当番ではない、他の病院になると、さらに遠いため時間がかかるので、まずは地元病院へ搬送することに。
 家族にも時季的に希望する病院への直送は難しく、一旦地元病院にて処置をしてもらい、場合によっては転院搬送になる場合もあることを説明し、搬送を開始しました。
 地元病院に到着。検査の結果から腸管穿孔等の恐れもあるため、手術のできる病院へ連絡。しかしゴールデンウィーク中のためか、転送先の病院スタッフがなかなか確保できず、30分後にようやくOKが出て転院搬送開始。
 緊急手術も行われたようですが、数日後、その傷病者は死亡しました。

 それから数週間後、その家族より「先日はお世話になりました。連休中にもかかわらず、救急隊や病院の皆さんには、最後まで一生懸命対応して頂いて本当に感謝しております。」さらに「おばあちゃんは最後、色んな人に精一杯のことをしてもらって亡くなりました、私たちにとっても悔いがありません。」
 自分にとっては、亡くなった家族からお礼を言われたのは初めてのことでした。
そのとき救急隊は傷病者を救うだけではなく、傷病者の家族及びその関係者の「心」を少しでも救うことができるのだと改めて気づきました。

 救急隊員をやっていてちょっと嬉かった春の日でした。


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11.1.16/11:25 AM