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110410救急車の適正利用か!?

作)ゆめ

  安易に救急車を呼ぶと重篤な方や緊急度の高い患者さんに対応できない!"と国をあげて救急車の適正利用の広報がなされていますが、普通の市民であれば急に気分が悪くなったり、子供が白目をむいて引きつけを起こしたり、ケガをしてたくさんの血が流れ出てくるのをみるとパニックになったりと、一刻も早く救急車に来てほしいと願うのは当然のことでしょう。

 

  ある冬の夜、「妻が熱を出して寝ているのだが、病院へ連れて行きたいのだが、そうしたくても、ワシだけの力では動かすことができない。」とご主人からの119番通報。

  そのお宅へ伺ってみると、ご高齢のご主人が玄関先で出迎えてくれて、奥さんのもとへ案内してくれました。奥さんは自宅居間のソファーの上で毛布をかぶり横たわっていました。

  体温が40度もあった奥さんはお話ができるもののその口調は弱々しく、あまりにも体がこわくて、歩くことも起き上がることもできません。

  ただちに村唯一の地元病院へ連絡・搬送しました。

  救急車の中でお話を伺うと、奥さんは朝から「なんだかゆるくないから、少し横になるわ。しばらくすれば治るさ?」と言ったきり、食事も取ることなくそのまま夜まで過ごしたようで、あまりにも様子が回復しないことにご主人が心配して自家用車で病院まで連れて行こうとしましたが、そのときにはすでに奥さんは自分で起き上がることができない状態までになっていました。

  二人暮らしの夫婦の近くには頼れる子供も隣人もいません。しかしご主人だけの力では奥さんの体を持ち上げて車に乗せることができず、困り果てて遠くに住んでいる息子へ電話をして、どうしたらよいのか相談をしたところ救急車を呼ぶことをすすめられ、躊躇したものの奥さんを説得して思い切って消防へ電話。

  ご主人が「消防(救急車のこと)を呼ぶぞ!」と言うと、奥さんは「熱を出したくらいで救急車を呼んでは、もっと辛い思いをしている人が出てたときに利用することができないから、こんなことでは呼ぶわけにはいかないでしょ!」と言ったそうです。実は、この奥さんは以前、私が講師を務めた普通救命講習に受講したことのある方で、その講習の中で救急車の適正利用の話しがあったことを覚えてくれていたようです。

  救急車の中でそんな話しを伺って、自分は「講習会で何てことを伝えてしまったのだろう!」と後悔しました。

  その奥さんは幸いにも地元病院で1週間程度入院処置を受け、回復され無事帰宅しました。

  それからというもの、私は救急講習会では「いままで普通に過ごしていたみなさんが、自分の力で歩けないような状態なら救急車を呼んでください!」と救急車の利用をお勧めしています。

 

  ※ 「こわい」「ゆるくない」とは、、、北海道弁で具合が悪いことの意。

 


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11.9.18/8:51 PM