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120726 部屋の掃除

作)ゆうたん


 いつも部屋は綺麗にしておこうと思うが、なかなか出来ないものだが、独り暮らしをしていた時などは、遊ぶ方が忙しくて部屋が雑然としていた記憶がある。

 ある日の午後、本人からお腹が痛くて動けないという通報があり傷病者の家へ向かった。

 その家は街外れの小高い丘の上にあり、50代の男性が独り暮らしをしているという事だけは知っていた。

 現場へ到着した私たちは戸惑った。家の周囲がぐるりと背丈ほどの雑草に覆われており、玄関がどこにあるのかすぐ分からない状態であったのだ。この時点で嫌な予感はしていたのだが・・・。道路に面した部分に獣道のように草が倒れている部分を見つけ出し、先へ進んでいくと玄関を発見。戸が半分開いた状態で中が見え、ゴミが散乱しているのが遠目からでも分かった。

 戸はどうやら閉まらないらしく動かない状態で、そこから意を決して玄関へ入ると、何とも言えない鼻をつく異臭に心が折れそうになります。そして、どこまでが玄関でどこからがその先か分からない程ゴミが散乱。テレビ等で見る「ゴミ屋敷」そのままの光景が目の前に広がっていた。

 靴を脱いで上がりこめるような状態ではなかったので、「靴のままでよろしいですか?」と声をかけると、「散らかっているからそのままでいいよ。」との返答。もはや「散らかっている」状態ではない程だったのだが・・・。

 傷病者は居間と思われる部屋の、これまたソファーと思われる物の上に仰臥で居ましたが、観察しようにも周りもゴミだらけ。隊員の一人が部屋の中を動き回る鼠のようなものの姿を見つけたと耳打ち、資器材を置いて活動するのも躊躇してしまう程で、即車内収容することとした。部屋同様に衣類も汚れが目立ち、身体も同様であったので、帰署後入念に車内と資器材を消毒することとなった。

 「ゴミ屋敷」と呼ばれるような家が、身近な場所にあった事にも驚いたが、普段身なりはそれほど綺麗な印象がなかったとは言え、接するとごく普通の人であった傷病者宅が、ゴミで一杯になっていた事にショックを受けた。そのゴミのほとんどが、コンビニの弁当のトレイや空き缶等であったので、おそらく捨てずに溜まった結果がゴミだらけになったのだろう。

 出動時に傷病者宅の部屋を垣間見、驚くほど綺麗にしている家や、帰署後に靴下を履き替えるような家まで様々であるが、ゴミの山に躊躇して靴のまま上がりこんだのは初めての経験だった。

 この出動以来、部屋の掃除はこまめにするようになり、雑然としてくるたびにこの家のことを思い出し、生理整頓を心がけるようにしている。


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12.7.25/8:27 AM