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130525印象に残る活動

作)ゆうたん


 誰しもが数年経ってもはっきりと覚えている現場があると思います。それが初出動だったり悲惨な現場だったり人によって様々でしょうが、先日こんなことがありました。

 その日の隊員は、消防学校での教育が終わり救急車に乗務するようになってまだ一週間足らずの新人でした。都会のように毎日何件もの出動があるわけでもなく、田舎故一日一件あるかないかの出動頻度です。その新人はまだ現場経験が二・三回という状況でした。

 いわゆる常連の独居の70代女性宅から、「失禁していて動けない。」というケアマネージャーからの通報があり出動。署内では、家の中がかなり汚れているためひどい異臭がし、要注意とされている傷病者です。両足が悪く普段から自力での歩行は不可能で、「失禁している」という情報に重症感を感じながらも通報内容に切迫感が無く、また「動けない」という内容に違和感を覚えつつ現場に到着しました。

 関係者に案内され傷病者が寝ている部屋へ足を踏み入れようとした途端、いつもとは違う異様な臭いが鼻につきました。「これは失禁どころではないな・・・。」そう直感させるものでした。

 臭いを我慢しつつまずは布団の中にいる傷病者に接触し、色々と聴取し観察するも主訴が「いつもと同じく動けない。」というのみ。関係者に聴取すると「動けない」のではなく、ケアマネージャーが病院へ連れて行こうとしたが自分達で「動かせない」ということが分かりました。傷病者はわがままで、いつもケアマネージャーの言うことを聞かないが、この一週間は会おうともせずにトイレにも行っていなかったようで、異臭がする布団の中が容易に想像できる感じでした。

 じっとしていても埒があきません。救急要請されているので、緊急性が無いとはいえ傷病者を病院へ連れて行かなければないのです。意を決して布団をめくると目にしみる程の異臭がし、敷布団も異様な色に変色しています。パジャマを着ていましたが、元の色が何色なのか分からない程です。まずは屋外へ搬出しなければなりませんが、一週間トイレへ行かず溜まってしまったものを処理しなければ動かす事も出来ません。おむつをしていたようですが、用をなしておらず手を差し入れると何とも言えない感触の塊が多数確認出来ました。大凡の「異物」を処理し傷病者の身体を拭き、アルミシートで包み込んでストレッチャーに収容しましたが、救急車内にも異臭が漂っていました。

 病院へ収容し、看護師へ事情を説明。このままでは診察や機器が汚れるため検査が出来ないので、まずは浴室へ運び身体を洗浄後に引継をするという、初めての体験となりました。

 新人隊員が帰りに一言、「多分この出動は一生忘れないと思います。」


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13.5.25/1:44 PM