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130525新人教育

作)梅みんつ


 約20年前、今の自分が勤務する消防に就職しました。高校を卒業して就職したのですが、これといって特技があるわけでも特別頭もいいわけでもなく、どちらかというと劣等生。そんな奴が就職したのですから期待の新人とも思われるはずもなく、職場の先輩達から「何もできない奴」のレッテルを貼られてしまいました。仕事を覚えようと解らないことを質問すると、「そんな事もわからんのか?自分で調べろ」と言われ、仕事中にお客さんが来てお茶出しが遅いと「さっさとお茶出せ!」など常に怒られていました。なんで仕事は教えてくれないの?仕事が空いている人がお茶を出せばいいんじゃないの?疑問だらけなことがあってこの仕事が嫌になっていました。しかし転職する勇気などなく与えられた仕事をダラダラとこなす日々が続きました。

 そんな中職場以外の方との飲み会の席でこんなことがありました。職場の飲み会ではいつも飲み物を用意したり、灰皿を配ったり、空いたグラスや皿を下げたりと、いつもやっているので、職場以外の飲み会でも体が勝手に動いてしまいます。すると「若いのに気が利くね。この行動は仕事にも繋がるから頑張って!」と言われました。自分の事を褒めてくれるなんて何時ぶりだろう。この一言で、今まで嫌だと思っていたことが、徐々に受け入れられるようになってきました。

 それから年月が過ぎ、次々と後輩が入ってきます。若いうちは入ってくる後輩の年も近いこともあり、なんとなく考え方も似たような感じだったので、あまり細かいこと考えずに仕事を教えて、後輩もそれなりに覚えてくれました。最近は自分が歳をとった事もあり、入ってくる後輩の考え方にギャップを感じるようになりました。数年前までは「つべこべ言わずにやれ!」が通用したのですが、最近は残念なくらいに通用しません。どうやったら仕事をやってもらえのだろう。自分が就職したときのことを思い出し、自分だったらこう言われたら素直に聞き入れてくれるだろうというのを考えて教えるようにしました。一つの仕事を教えるために、必要性を示したり、理由を説明したりと試行錯誤して教えるようにしました。しかし、この方法も受け入れてもらえないようで、中々仕事を覚えてくれません。ん?、仕事を教えるのってこんなに難しかったかなあ?と思ってしまうことが多くなりました。悩んだあげく新人教育関連本を購入して、色々な方法取り入れたものの、これをやればという決定的な方法は残念ながら見つかりませんでした。覚えの悪い後輩を見て、痺れを切らした周りの職員から「お前のやり方は緩すぎる」などと言われる始末。頼むから早く覚えてくれ?!と祈る日々が続きました。

 そんな中、とある飲み会の席で「後輩は、どうだい?」と話してくれる方がいました。その方は自分が就職したての頃に褒めてくれた方です。後輩に仕事を教えるのに悩んでいることを話しました。するとその方は「後輩を褒めるといいよ」と一言。ん?、確かに教えることばかり先行して、できたことに対して褒めることをしていなかったなあと反省。自分も褒められて変わったことを思い出しました。善は急げで早速実践、後輩ができたことに対して褒めるようにしました。すると、以前とは見違える程覚えるスピードが増して、しかもやる気も出てきました。なんでもっと早くこのことに気付かなかったのかと思いました。

 年齢に関係なく、褒められるのって嬉しいですし、やる気も出ますよね。山本五十六さんの「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」この名言の重みを再認識しました。

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13.5.25/1:46 PM