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130525タクシーからの通報

作)ゆうたん


 「タクシー代わりの救急車の利用はやめましょう」

 以前から言われていることであるが、考えさせられる事例が2つ立て続けにあった。

 ある雨の日の午後、「80代男性が歩道で転倒し顔面から出血しているので救急車をお願いします。」というタクシー運転手からの通報。傷病者は自宅に居るが、通報者はタクシー運転手という少々不可解なものであった。

 傷病者宅へ着くと、玄関前にタクシーが止まっており傷病者も傍にいた。状況を聴取すると、足の不自由な傷病者が散歩中に転び、近所の人が家に連れて帰ってきたらしい。顔面から出血といってもかすり傷程度であったが、病院を受診したいということなので搬送することとした。タクシーはたまたま通りかかったのかと通報者の運転手に話を聞いて驚いた。

 傷病者は家族に病院を受診するよう勧められ、自分でタクシーを呼んだそうだが、運転手は病院へ連れていくことが出来ないので、救急車を呼ぶからと傷病者の同意なしに通報したと言う。運転手は「頭を打っているかもしれない。途中で何かあっても自分は責任を取れないので、救急車で運んでくれ」と言う。傷病者に転倒時の状況を尋ねたが記憶はしっかりしており、顔面にかすり傷程度の出血がみられた他は、腫れもなく頭部は打っていない様子。話を進めていくと、転んだ時に傷病者の着衣が多少汚れており、どうやら座席が汚れるので嫌というのが主な理由だったようだ。

 「自分はタクシーで行きたいのだが。」という傷病者ではあったが、タクシーの運転手が頭部を打っているかもしれないので、何かあっても責任を取れないと拒否をしている以上、救急搬送を断るわけにもいかず、傷病者の同意を得て救急搬送することとなった。

 その数日後、今度は「60代女性の鼻血が止まらない。」という通報が、またも同じタクシー運転手からあった。傷病者は自宅に在宅とのことで、「まさか、またか?」という印象を抱いたが、現場へ到着するとタクシーはやはり玄関前に停車していた。

 家の中へ入るとタクシー運転手も居り、「鼻血はまだ止まっていない。座席に血がついてしまうと仕事にならない。」と言う。傷病者の衣類はなかり血で汚れてはいたが、微量の出血は続いているもののバイタル的にも安定しており非常に元気であった。タクシー運転手が、座席に血がつくのを嫌がったというのが簡単に推察できた。

 この傷病者も、自分で病院へ行こうとタクシーを呼んだにも関わらず、救急車が来たことにかなり戸惑っていたが、搬送しない理由も見当たらないので救急搬送となった。

 タクシー運転手からの、文字通りの安易なタクシー代わりの要請の連続に閉口した。


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13.5.25/1:33 PM