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140809学びを経験として生かす

作)みいたん

 私の所属する組合は規模が小さく、各署が集っての合同訓練の必要性を感じつつも、人員や出動態勢の都合上行ったことはありませんでした。

 そんな中、組合でも一番規模の小さな村で多数傷病者が発生する労災事故がありました。

 第一報では、傷病者が複数ということだけで具体的な内容は分かりませんでしたが、組合内で5台しかない救急車のうち4台を出動させたことから、かなりの規模の事故と推察されました。

 組合内で多数傷病者に対応する訓練をしたことはなかったので、現場はかなり混乱していると予想しつつ私も現場に向いました。出動途上傍受した無線も、通信員の混乱ぶりを感じさせるものでした。

 私たちは現場から距離があったので最後着だったのですが、現場へ到着して驚きました。傷病者は8名居たのですが、すでに全員トリアージ済で現場の統制がスムーズにとれていたのです。

 現場で指揮を執っていた最先着の隊長の顔を見て納得できました。

 彼はその所属で唯一、各種事例検討会等に積極的に参加する人で、以前トリアージの勉強も一緒に受講した人でした。救急が割と「暇」な所属なため、周りは参加を冷やかしたりしていたものですが、「うちは出動が少ないから、このような場で勉強しないとダメなのです。いつあるか分からないけど、うちであったときに生かせるよう色々な事例を学ぶのです。」それが口癖でした。

 そして現場に集まっていた応援隊の隊長も、偶然だったのでしょうが皆事例検討会等に積極的に参加する人ばかりでした。そのため、各隊はスムーズに最先着隊長の指揮下に入り、統制がとれた活動が行えていたのです。

 山間部ということもあって無線事情は良くなかったのですが、通信の混乱ぶりとは異なり、隊長間での共通認識で分散収容も現場の判断で最適に行うこともできました。現場へ臨場した医師からも、混乱せず統制がとれていたことに驚きの言葉がよせられました。

 切迫した重傷者が少なかったことも幸いだったのでしょうが、やはり普段からの意識の持ち方が大切であると痛感した事例でした。

 当組合ではトリアージの訓練をしたことはありません。言葉では知っている人が多くでも、実際のトリアージには疑問符が付く人ばかりでしょう。訓練を一度や二度やっていたとしても、署を超えた応援隊が多数集結すると現場は混乱してしまうでしょう。

 そうならないために大切なのは、やはり「知識」と「共通認識」です。わずか一人の隊長であっても多数傷病者に対する「知識」と「共通認識」を持たない隊長が臨場していれば、活動はスムーズにいかなかったと思われます。

 ただ勉強していただけではなく、その知識を自分の経験として、常に備える気持ちを忘れずに持ち続けていた最先着隊の隊長。

 自分も学んだことを生かせるよう努力しなければと痛感しました。


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14.8.9/4:50 PM