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151109ワン切り

作)ゆうたん

 先日深夜、一般加入電話がワンコールで切れた。
 

「夜中だし、間違い電話だろう。」と気にも留めなかった。

 30分程経った頃、再び呼び出し音が鳴りすぐ切れた。

 署の代表加入電話で、応答しなければ着信番号が履歴には残らないが、呼び出し音が鳴る間は相手先の番号が表示される。一瞬見えたのは固定電話の番号である。「また間違ったのか?」と少し怪訝に感じた。

 夜中の間違い電話は、いくら24時間起きている消防といっても迷惑だなと皆困り顔である。

 そんな話をしているうちに、また呼び出し音が鳴ってすぐ切れた。表示されていた番号は、先ほどと同じ番号である。

 何度もかかってくるのは間違い電話にしてはおかしい、番号を調べてみようと話をしていると、再び電話が鳴った。今度は出ることが出来たが、すぐ切れた。

 調べてみると、かけてきた先は独居の80代女性宅と判明した。常連一歩手前、軽症事案で頻回に救急車を要請する人であった。

 「また軽症での要請なのか?」「今回は、本当に具合が悪くて電話をしてきたのか?」

 深夜に何度も電話がかかってくること自体、何かを暗示しているとかけ直すことにした。

 するといくら呼び出しても電話には出ない。数度かけ直しようやく電話に出たが、今度はいくら呼びかけても返答が無い。生活音も聞こえず、聞こえていたら受話器を叩くよう伝えるが何も応答無く電話は切れた。

 困ったのは我々だ。いくら軽症での頻回利用者とはいえ、高齢で基礎疾患も多い。電話に応答出来ない最悪の状況も考えられるが、救急要請されたわけでもなく、救急車で出向するわけにもいかない。独居の高齢者の連絡先は署で把握しているので、関係先に連絡を試みたが、週末の深夜ということもあってか出向けない人や不在の人が多く、家の確認に向かってもらうことが出来ない。

 最後に役場の担当者に状況を説明し、家の様子を確認してもらうことにした。

 担当者が家に着いたと思われる時間を過ぎても、署に連絡が来なかったので最悪の事態ではなかったと、当番者一同胸をなでおろした。

 ほどなくして、役場担当者から連絡があった。

 女性は急に胸に違和感を覚え、どうすれば良いか分からずに消防に電話をしたそうである。しかし、救急要請というわけではなく、相談するつもりだったようだ。何故すぐ電話を切ったのか要領を得ず理由は分からずじまいである。消防からの電話には出るには出たが、何を話せばいいのか分からずに放置していたとのこと。

 今現在は、異常はないとのことで「何かあればすぐ119して下さい。」と伝え一件落着となった。

 頻回利用者なだけにオオカミ少年になりかねず、何事もなかったことに一同一安心した夜となった。


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15.11.9/11:20 AM