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160306キラキラ

作)ゆうたん

 近年、読むことが難解な子供の名前が増えている。私は毎年小学校の入学式に参列しているのだが、来賓室で必ず話題になる程である。「この字でこんな読み方をさせるのか」「こんな当て字があるのか」意見は様々だが、振り仮名が無ければ読めないし、名前の読みを聞いて漢字で書けと言われても書けない、そんなキラキラネームとも呼ばれる名前に、現場で戸惑うこともあるのではないだろうか。

 まず、子供の名前を尋ねると、外国人風の名前や、時にはアニメのキャラクターの名前に出会うことがある。どう考えても漢字が思い浮かばない。漢字を尋ねるが、これまた簡単に書けないような難解な文字を使っていたりする。ほとんどの場合、紙に書いてもらうことになるのだが、「よくこんな難しい漢字を使って難しい読み方をさせるな」と感心することしきりとなる。

 こんな場合困るのは病院連絡である。

 名前を伝えると、電話を受ける側も一瞬戸惑っているのが伝わってくる。「もう一度お名前伺ってもよろしいですか?」

 さらに困るのは、カルテ作成上の都合があるのであろう、漢字を伝えなければならない時である。読むのも書くのも難しいような漢字は、まず何と伝えていいのか戸惑う。「こんな偏や冠で創りはこんな感じです」

 当て字も多いので、受ける方も漢字のイメージが容易に湧かないのだろう。こんなやり取りに時間を費やすことが多くなってきた。

 人生も中間地点を折り返した世代以上にとっては、名前には親の子供に対する想い等が詰まっていて、使う漢字にも意味を持たせたりするのが一般的であったと思う。そんなに奇抜な名前は少なかったし、使う漢字も常用漢字が主なので、読むのも書くのもそれほど苦労はしない。ちょっと変わった読み方をしていても、当て字は少なく人名読みがあった程度だったと思う。私の名前も難読の部類ではあるが、漢和辞書をひくと読みは記載されている。画数による姓名判断等、日本に脈々と伝わってきた名前の付け方は、時代と共に変わったものだなとおかしな感傷に浸ってしまう。

 自分もそうだったが、親に自分の名前の由来を尋ねると、「こんな想いを込めてこんな漢字を使ったんだ」と、その意味を説明してもらえたが、今のキラキラした名前の子が同じように親に尋ねたら、親はどう答えるのかと思うことがある。昔、子供に悪魔と名前をつけようとした親がニュースで世間を賑わせたことがあったが、今のキラキラネームと呼ばれる名前も大差無いように感じるのは、歳をとっただけだからだろうか。

 簡単に書けないような難しい漢字を当て字にした名前に驚き、「難しい字で難しい読み方をするのですね」と親御さんに話しかけると、親御さんの目がキラキラ輝き顔は自慢げになる。だからキラキラネームと呼ばれているのかと思ってしまう瞬間である。

 「名は体を表す」こんな諺もそのうち無くなるかもしれない。


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16.3.6/1:40 PM