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170820ここからはあなたが考えるカラス

作)ウルトラマン

「ここからはあなたが考えるカラス」


 特にやることもなく、ソファの上でだらけていた非番日。テレビに目をやると、透明なコップと、その周りをぴょんぴょん跳ねるカラスが映し出されていた。コップには少しの水と一粒の餌が入っていて、どうやらカラスはその餌を狙っているらしい。コップが深いのでくちばしは届かない。カラスはその餌を食べるためにいろいろと考えを巡らせて、やがてコップに小石を入れることを思いつく。小石を入れるたびに水位があがり、やがてくちばしが届いて、餌を食べてしまった。
 「カラスって偉いね。」6歳の娘が驚いている。確かにすごい。
 
 この映像は、NHK Eテレの「考えるカラス」という番組の冒頭だ。この考えるカラスは、科学の知識ではなく、科学の考え方を学んでもらおうと始まった番組。ナレーションは言う。「観察し、仮設を立て、実験し、考察する。これからあなたも考えるカラス。」
 最近の教育テレビは侮れないと思った。

 番組の途中には、「考える習慣」というとても斬新なコーナーがある。何が斬新なのか。それは、最初にある実験の3択クイズが出され、「まずは自分で考えてみよう。」と投げかけられる。私が見た時は、キャスターのついた水槽を思い切り押すと、水はどうなるかという実験。(1)手前にこぼれる。(2)奥にこぼれる。(3)水は動かない。の3択だった。その後、実験が行われ、なぜそのような結果になるのか解説が始まる。「お父さん!何番が正解?」解説をまず聞いて教えてやった方が、父としての威厳が保たれると思った私は、笑顔だけ返してだんまりを決め込んでいた。
 「それでは解説。」解説者が説明を始める。私と娘はテレビを見つめている。「物には慣性とい・・。」
 番組はここまでである。解説が始まると突然幕がおりて、こんなメッセージ。
 「ここから先は自分で考えてみよう。これからはみんなが考えるカラス。」・・・やられた。答えが気になる娘。上手に説明できない父。倉庫からバケツを持ってきて、実際に実験をするはめになってしまったのは言うまでもない。

 その解説が翌週に流れるわけでもなく、「続きはウェブで」というわけでもない。唐突に番組が終わってしまうので、とても「もやもや」した気持ちになってしまう。脳科学者の茂木さん曰く、この「もやもや」している状態こそ、頭をフル回転させて考えている証拠なのだそうだ。子供用の番組で、まさか慣性の法則が出てくるとは思わなかった。

 「慣性の法則」と検索すれば、0.42秒で56万9千件の答えを得ることができる私たち。私が救急救命士国家試験を受けるころは、インターネットが市民に普及し始めたばかりで、iモード真っ只中。パケット料金の不安を常に抱えていた時代。机いっぱいに本を広げて、1つの回答を得るのにたくさんの時間を使っていたが、今考えれば逆に良かったと思う。今の勉強スタイルは救急救命士標準テキストと、スマートフォン。問題を解くのも早いのなんの。なんてったって0.42秒の世界。当たり前に考えれば、その方が断然効率は良いように見えるが、反面悪い点もある。

 ここで問題。0.42秒で得られた回答と、1時間かけて得た回答の差は何だろうか。これは、回答にたどり着くまでの様々なプロセスが関係している。。
 それでは解説。人間には、様々な臓器、器官が存在していて・・・
 「ここから先は自分で考えよう。これからはあなたが考えるカラス。」


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17.8.20/5:53 PM