AEML:救急メーリングリストの仲間たち〜インターネットを利用した情報交換〜

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AEMLデータページから引っ越してきました

HTMLにまとめて下さいました粥川正彦氏に感謝いたします


AEML:救急メーリングリストの仲間たち

〜インターネットを利用した情報交換〜

旭川市消防本部南消防署 山田博司

はじめに

 「五感を働かせ」とは、救急隊が傷病者の 観察を行う際にいわれることですが、現場で の情報収集は救急活動の基本といったところ でしょうか。救急現場に限らず、情報収集は 日常様々な場面で必要となります。ふだん救 急隊の皆さんは、どのように情報収集してい ますか。

 私たちは、このたび北海道内の救急隊員が お互いに情報交換をするための方法として、 Eメールを利用したネットワークであるメー リングリストAEMLを作りましたので紹介 いたします。

情報はインターネットから  平成三年に救急救命士法が制定され、救急 救命士制度が誕生し、救急隊員講習時間も二 五〇時間になり応急処置の拡大が図られまし た。救急救命士制度の誕生は、改めて消防の 救急業務が医療業務であることを認識させら れました。医療業務に携わる者はすなわち医 療人であり、救急隊員も医療人としての自覚 を強く求められています。したがって、私た ちは公務員であり消防人であると同時に医療 人としての自覚を持ち日々自己研鑚に取り組 んでいく必要があります。しかしながら、他 のコ・メディカルと違って消防署に勤務する 私たち救急隊員は、どうしても医療情報不足 に陥りがちになってしまいます。したがって 医療情報の収集にはいろいろな工夫を凝らさ なければなりません。

 さて、私の場合は医療情報をどこから入手 していたのでしょう。自分の活動体験、同僚 や先輩の話、参考書、研修会で医師から受け るアドバイスなど、これらはすべて貴重な情 報でした。しかし、残念ながらいつもいつも アドバイスを与えてくれる医師が近くにいる わけではありません。また、先輩方も特異な 事例ばかり経験してきているわけではありま せん。参考書を読むのにも限界があります。 そのため時には情報源を自分たちの消防署内 だけではなく、外にも目を向けていました。 情報源を外に求める際の方法の一つとしては インターネット(IN)の活用があります。 INには数多くの医療関係のホームページ (HP)があり、医療情報が提供されていま す。また、Eメールを利用して個人の質問に 答えてくれるHPもあります。

Eメールを使ったメーリングリスト(ML) さて、Eメールをすでにご存じの方も多い と思いますが、Eメールは言葉どおりINを 利用した手紙のようなもので、INを利用し て文字や絵などを自分から相手に送るもので す。例えば、自分のパソコンで文章を作成し 送信すると、INを経由して送信先相手のパ ソコンの画面に同じ文章が映し出されます。 私は専門家でないので詳しい説明はできませ んが、情報伝達の手段としてはとても便利な ものだと思います。

 私は、地方の友人に相談を持ちかけたり情 報を求めたりするときは、積極的にEメール を利用しています。もっとも、相手がEメー ルを送れる手段を持っていなければいけませ んが、Eメールは手紙と同じように相手の時 間を制約しないという配慮と電話のような手 軽さがあると思っているからです。

 また、INでは一通のEメールを同時に多 くの人に送ることが可能です。その仕組みを 利用してIN上に作ったグループの人たちへ 同時にEメールを送信し、お互いに情報交換 することができるメーリングリスト(ML) というものがあります。

 MLとは、例えていえば、「大きな黒板の 前に数人のグループが集まっていて誰かが意 見や相談を書き込む。他の人はそれに対して の意見等をまた黒板に書き込む。黒板はグル ープの皆が見ることができるので、すべての 意見交換をグループ内すべての人が知ること ができる」といった感じです。INには非常 に多くのMLがあります。例えば、ラーメン 好きの人たちがラーメンについて語り合うM Lがあり、特定のアイドルを話題にしたML など趣味を同じくする人たちのMLがあり、 職業を同じくする人たちのMLがあります。

 当然のように救急医療についてのMLがあ り、救急隊員のMLもあります。それらのM Lでは、いろいろな地域の救急隊員、医師、 看護婦などによって、救急医療について様々 な意見交換、有意義な情報交換が行われてい ます。

 私はそれらのMLを知って、MLは救急隊 員間の情報交換の場としてとても良いものだ と思いました。そして、身近な仲間が集まっ て既設のMLとはひと味違う、もっともっと 気軽に自分たちの身の周りの話題などの情報 交換をするためのMLを作ることにしまし た。

地域に密着したMLを作りたい   さて、MLを開設するに当たっては、ML の目的をはっきりさせなくてはなりません。 救急隊員が情報交換するためのMLはすでに ありますから、新しく開設するものとしては 救急に関わることの情報交換はもちろんのこ と、特に地域に密着した話題が多くあること、 そして、何より重要なことは参加者が地域を 同じくする仲間どうしであることを強調し、 一見つまらなく思えるようなことでも話題に 出せるような、まるで世間話をしているよう な感じで参加できるMLになることを望みま した。 専門業者を選ぶ    さて、MLを開設することを決めてしまえ ば、作業は簡単です。

 MLは、二四時間稼働し続ける専用のコン ピュータがあって、参加者からEメールが届 くと、コンピュータが参加者全員にEメール を送るという仕組みになっています。誰もが 二四時間稼働し続ける専用のコンピュータを 持っているはずはありませんので、通常はM Lサービスを行っている専門業者に依頼する こととなります。専門業者選びについては、 私はMLについては全くの素人ですからパソ コン関係の雑誌に載っている中から名の通っ た大手であることと料金が安いことを条件に 選びました。料金はいろいろありますが、私 たちの場合はML開設手数料が二〇〇〇円、 毎月の料金が五〇〇円。これで参加者を最大 三〇〇人まで登録できるMLのでき上がりで す。

 ML開設はサービス業者がやってくれます ので、ほとんど何もせずにMLは開設されま すが、参加者をコンピュータに登録したりす るなどの最低限の知識と技術は必要となりま す。しかしながら、最低限の知識でさえ身に つけるのは苦労があり、運営マニュアルの言 葉一つひとつですら、納得するのに時間がか かります。救急のための情報ネットワーク作 りのはずが、ML運営のための情報収集に取 って代わられてしまいました。それでもパソ コン雑誌を三冊も読めばだいたいのことは理 解できます。私は最低のことを納得する程度 にとどめ、それ以上のことは理解することを あきらめました。

参加者を募る  MLの構築で苦労したことといえば、参加 者を募ることだと思います。MLには、ある 程度の参加者の数が必要となります。パソコ ンの電源を入れ、INにアクセスしEメール を読み込む作業をして、何もなかったら寂し いものです。毎日最低何通かのEメールが届 いていてほしいものです。そんな話題豊富な 人ばかりいるわけもなく、少人数では運営が 厳しいものとなります。参加者が多くいるこ とで、それぞれがポツポツとEメールを送っ てもML全体としては盛り上がるわけです。 そのため参加者を募ることでも工夫が必要と なるのですが、MLはINをしていることが 前提となりますから、日ごろ個人間でEメー ルのやりとりをしている仲間に声をかけてい くことから始めました。その結果、仲間は仲 間を呼び参加者は少しずつ増えていきまし た。 AEMLスタート

 このようにして始まった私たちのAEML (Associates of Emergency Mailing List: 救急メーリングリストの仲間たち)は最初、 八名からのスタートでした。三つの消防本部 から救急隊員が七名と日ごろ病院研修で救急 隊員を指導している医師が一名加わりまし た。救急隊員が参加するMLに医師の参加は 非常に重要なことだと思いますが、私たちは ラッキーでした。

 AEMLが始まってポツポツとEメールが 送られてきました。開設時は、参加者の自己 紹介などが中心ですが、地域性のあるMLの いいところは、必ず誰か知り合いがいるとい うことです。消防職員になりたてのときに、 北海道消防学校で六か月間寝食を共にした仲 間たちとMLによって同じ話題で意見交換す ることで、その当時の仲間意識がよみがえり、 とてもうれしく思いました。

 八名でスタートしたAEMLは、当初旭川 市と留萌市とそれぞれの知人友人間での,ミニ ミニMLの予定でした。既設のMLがあるに もかかわらず、私たちがAEMLを新たに開 設した理由は、身近な仲間どうしで身近な情 報を交換するためのものでした。しかし、身 近なところに参加者を限ると参加者数が少な くなりMLの維持自体が難しくなります。ま た、範囲を広げ参加者を募ると話題は多くな るけれど、知らない人も多くなり警戒や遠慮 が生じたりするのではないかとの話し合いが されました。結局、参加者を北海道内に広げ ることである程度参加者数も期待でき、地域 的な共通の認識も持つことができるだろうと いうことになりました。

宣伝する

 さて、北海道内に参加者を募ることを決め た以上はとことん宣伝です。ちょうどいい時 期に北海道救急医学会救急隊員部会が開催さ れたので、会場で宣伝のチラシ配りとなりま した。私にとって救急医学会への参加はまだ まだ緊張する出来事ですし、さらに初めての 演題発表もありました。それに加えての、大 勢の参加者が集まっている会場でのチラシ配 りは胃の痛む思いでした。

 しかしながら、チラシ配りの効果はあった ようで、その後多くの参加がありました。当 日会場にいた人に限らず、地元消防本部でチ ラシを見て参加を希望された人もあり、宣伝 効果はあったようです。

これからのAEML  今後は、参加者をもっと募っていきたいと 思いますが、特に出動件数の少なく救急隊員 の研修体制のできていない、いわゆる情報不 足に陥りがちな地域の救急隊貝の方の参加を 求めたいと思います。また、医師や看護婦の 参加も求め救急隊員と情報を共有できればい いと思っています。そして、MLを通じて参 加者が日常の活動で知り得た情報や感じたこ とを紹介し、参加者が参考にしてそれぞれの 活動の場で生かすことができるようなAEM Lになることを期待しています。 おわりに  以上、私たち救急隊員が救急医療の情報不 足を補う方法として自らの手によりAEML を開設するに至った経緯をお話ししました。 救急隊員は、自らが医療人であると自覚する に至ってからまだ月日が浅く、今後は医師・ 看護婦がたどった経緯のように専門職として の体系を作っていくことでしょう。学会の活 動も盛んになり、勉強会やお互いの情報交換 も盛んになっていくことと思います。私たち 救急隊員は消防組織の一員であると同時に救 急隊員個人として質を向上させられるよう努 力することがますます求められていくことで しょう。

 INは今後ますます普及し、多くの救急隊 員がINができる環境となることと思いま す。INを通して救急隊員間で多くの情報の やりとりがなされていくことになるでしょ う。例えば、救急医学会で救急隊員が発表し ている論文もINを利用することで会場に行 くことのできなかった多くの救急隊員に紹介 することができます。あるいは、救急隊員が 経験する日常の様々な症例を集約し、データ ベースとして活用することも可能かもしれま せん。INは救急業務において救急隊員の情 報不足を解消し知識の向上を促し、必然的に 救急隊員の質の向上に関わっていくものと考 えられます。

 さあ、いつも上司が救急業務に関心がない と嘆いている方。AEMLに参加して救急業 務に積極的な多くの仲間と情報交換をしてみ ませんか。救急隊員のみなさんの参加をお待 ちしています。

AEMLに参加希望の方は、

 AEML(Associates Of Emergency Mailing List: 救急メーリングリストの仲間たち) ホームページ http://aeml.umin.ac.jp をご覧下さい。


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