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HTMLにまとめて下さいました粥川正彦氏に感謝いたします


ツーウェイチューブ挿入における咽頭カフ容量とリーク率の変化

北海道・留萌消防組合消防本部
   梅澤卓也・中路和也・三好正志・柴崎武則・中黒康二・大川寿幸
留萌市立総合病院麻酔科
   玉川進
留萌市立総合病院院長
   西條登

1 はじめに

 留萌消防組合消防本部では、平成7年に4 名の救急救命士が誕生したのに伴い、留萌市 立総合病院において救急救命士の病院内研修 を実施してきた。研修では、病院側とのコミ ュニケーションを図りながら医療従事者の一 員としての知識を習得することに加え、特定 行為についても指導を受けてきた。この研修 ではツーウェイチューブ(CombitubeR)の 使用も含まれている。

 ツーウェイチューブの咽頭カフ容量を 100mlとすると、ほとんどの患者で多少なり ともエアリークがあった。その場合、われわ れは咽頭カフの容量を増すことによりエアリ ークを低下させることができると考えてい た。今回、咽頭カフ容量を増したことにより エアリークの増加が見られ、逆に咽頭カフ容 量を減少させたことでエアリークが減少した 事例を経験したので報告する。

2 事 例  72歳女性。身長151cm。子宮下垂により膣 形成術が予定された。患者には医師がツーウ ェイチューブにて全身麻酔を行うことを説明 し同意を得た。換気量とチューブ内庄の測定 はオメダ社呼気ガスモニター5250RGMで行 つた。静脈麻酔薬と筋弛緩薬で全身麻酔導入 後、レントゲン透視下にて医師が標準タイプ ツーウェイチューブを挿入したところ、先端 側の挿入マークから3cm先端側で門歯と一致 した。初め咽頭カフ容量を90mlとしたがエア リークがあったため100、110、120mlと容量 を増加させた。しかしチューブ内圧は上昇し たがリークの改善はみられず、逆にカフ容量 を減少させていくと、80mlとしたときに、最 もリークが減少した(図1)。

図1拡大

原因を確かめ るためレントゲン透視下にてカフ容量を変化 させた。咽頭カフ容量を80mlとしたときには 良好な換気が得られている(写真1)が、

写真1拡大

咽 頭カフ容量を120mlとすると咽頭カフが舌骨 を押し下げ喉頭入口部の狭窄を来し、さらに 咽頭カフが膨満し喉頭側へ落ち込んでいるの が分かった(写真2)。

写真2拡大

3 考 察  本事例は救急救命士の病院内研修で経験し たものである。患者にはインフォームドコン セントがなされ、医療行為は医 師が行っており救急救命士は医 療行為以外の測定を行った。

 ツーウェイチューブに附属する 取扱説明書のなかで、咽頭カフ 容量の説明は“Inflate#1Blue pilot balloon with 100ml of air” とあるのみで、それ以外、カフ 容量を増減するなどの記載がな い。日本語訳では「約100mlの 空気で咽頭カフを膨張し」とあ り、他の解説においても同様の 記述がある。ツーウェイチユー ブのエアリークについて鈴木ら は、カフ容量を増加させること によってリークが減少したと報告している。 確かにカフ容量を増加させることによってリ ークが減少することを多く経験するが、われ われは、カフ容量を増加させることにより逆 にリークの増加がみられた例を、本事例以外 にも経験している(写真3)。

図3拡大

 カフ容量を増加させるとリークが増える原 因を透視下で確認した。カフが舌骨を押し下 げ喉頭入口部を狭窄させている所見があり、 さらにカフが膨満して喉頭側へ落ち込んでい る所見もみられた。これらはともに気道を狭 くし、気道抵抗を上昇させる原因となってい る。カフ容量の増加につれてチューブ内庄が 上昇していることからも気道狭窄は明らかで あり、カフ容量の増加につれて気道抵抗が上 昇し、行き場所を失った送気がリークしたと 考えられた。また、本事例の患者は身長151 cmで標準タイプの適応であったが、挿入後チ ューブを固定したとき門歯から3cm上に挿入 マークが位置していた。このことからツーウ ェイチューブが適応としている身長の患者で も、挿入マークまで挿入不可能な場合もある ことも分かった。

4 結 論  ツーウェイチューブの最適な咽頭カフ容量 には個人差があるということを認識したうえ で、挿入後におけるリーク音の聴取、胸部の 挙上状態等から リーク状況を判 断し、その患者 にあった適切な 咽頭カフ容量を みつけることが 必要と考える。

 なお本稿の 内容は、第20回 北海道救急医学 会学術集会にて 発表した。

【文 献】
1)中路和也,梅澤卓也,三好正志,柴崎武 則,中黒康二,大川寿幸,玉川進,西條登: 2Wayチューブ(CombitubuH)挿入に 関する臨床的研究.第24回日本救急医学 会救急隊貝部会学術総会抄録集1996.
2)KendallSheridan healthcareproducts Company:COMBITUBEH Esophageal TrachealDouble Lumen Airway with X−rayLine.1995.
3)日本光電工業株式会社:食道閉鎖方式 コンビチューブ取扱説明書.1995
4)植草雄次:正しい資器材の使い方 ツ ーウェイチューブ.プレ・ホスピタル・ ケア1994;第7巻第3号:32−36.
5)杉山頁:救急医療器具を使いこなす 気道確保のための器具.救急医療ジャー ナル1994;第2巻第6号:74−79.
6)鈴木孝,須藤和則,額田幸次郎,小関一 英,益子邦洋,辺見弘:コンビチューブに よる人工呼吸管理症例.プレ・ホスピタ ル・ケア1994;第7巻第2号:39−44.
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06.10.28/9:40 AM