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原著・投稿

パルスオキシメーターによる血圧の測定について

北海道・旭川市消防本部北消防署:著者連絡先:〒070−0843北海道旭川市大町3条5丁目
   桑野正行・斉藤拓哉
旭川厚生病院麻酔科
   玉川進

はじめに

 パルスオキシメーターでの血圧測定(以下 「脈波血圧」とする)は、上腕にマンシェット を巻き、手指にパルスオキシメーターのプロー ブを装着、モニター上の脈波が消えるまでカフ 圧を上げ、その後カフを減圧して再びモニター 上に脈波が出現した瞬間の血圧値を最高血圧 (収縮期血圧)とするもの1)で、伊藤1)は成人 健常者に対しての有用性を報告している。

 今回われわれは、カフの加減圧に自動血圧計 を使用し、実験1は健常者に対し、1人につき 3機種を使用し、機種間の差を検証する。実験 2は健常者でなく病院の患者に行う。以上の実 験で脈波血圧が有用であるか研究を行った。

方法  本研究は旭川厚生病院において救急救命士の 就業前教育時に行った。

 医師から本研究について説明を受け同意し た、実験1では5分以上の仰臥位で安静を保っ た健常成人ボランティアで、20歳〜45歳の10 名に1人につき3機種で脈波血圧を測定した。 実験2では、全身麻酔下で循環動態が安定した 手術患者及び5分以上の仰臥位で安静を保った 集中治療室の収容患者で、27歳〜69歳の39例 について測定した。

 測定機種は、病院の日本コーリン社製パルス メイトBX5(実験2・28例)、フクダ電子社製 DS−5300(実験2・7例)・DS−3300(実験 2・4例)の3機種を使用した。

 患者の同側上肢に、自動血圧計のマンシェッ トとパルスオキシメーターのプローブを装着し た。自動血圧計で170mmHgまでカフを加圧し、 その後カフを減圧して再びモニター上に脈波が 出現した瞬間の値と、自動血圧計の最高血圧と の数値比較を行った。

 数値確認は2人で行い、1人は減圧時のデジ タル表示、1人はモニター上の脈波出現を読み 取った。

 統計処理には分散分析、回帰分析、ピアソン の相関係数を用い、P<0.05を有意差ありとした。

結果  最高血圧は74〜156mmHgであり、低 血圧の患者でも、脈波モニター上にパ ルスオキシメーターの脈波が出れば、 測定が行えた。なお、機種によっては モニター上の脈波の波形に違いがみら れた。

 実験1で、機種間での有意差は認め られなかった(図1)。

図1拡大

実験2では、最高血圧と脈波血圧の 差の多くは最高血圧の20%以内であ り、最高血圧と脈波血圧は有意に相関 していた(図2)。

図2拡大

(R2=0.841,P<0.001)、回帰直線 は、y=X−16であった。

考察  今回の研究では、脈波血圧が機種に 関係なく最高血圧と高く相関すること を示した。

 測定では最高血圧が70台のデータも 含まれており、低血圧であっても脈波 さえ感知できれば、脈波血圧の測定が 可能であった。このことは、低血圧に より聴診法や触診法で測定できない場 合でも、脈波血圧によって最高血圧を推定でき る可能性を示唆している。

 脈波血圧は、触診法での指先の感覚を脈波モ ニターでの読み取りに代用したもので、聴診法 の困難な搬送車内とか雪道での触診法の振動対 策に有用と思われる。

 われわれは、カフの加減圧に簡便な自動血圧 計を使用したが、自動血圧計では減圧速度が速 いため、測定誤差に大きく影響していると思わ れる。回帰直線の傾きが1であることは、パル スオキシメーターが脈波を感知する感度の高さ を示しているが、y切片が−16と大きいこと は、指先の血流再開からモニター画面に脈波を 表示して、我々が判断するまでにカフの脱気さ れる量が多いためと考えられる。対策として、 アネロイド血圧計を使用し減圧速度はゆっくり と一定にする(伊藤1)は1秒間に4mmHg)。ま た、機種ごとのモニター上に現れる脈波の特徴 に習熟することで、実際の最高血圧に近似した 値が出ると思われる。

 カフの加減圧に自動血圧計を使用し、血圧の デジタル表示と脈波の出現の読み取りを同時に 1人で試みたが、困難であった。1人で測定す るときは、アネロイド血圧計を使用し、減圧中 のモニター上に脈波が出現した瞬間にエアーリ リースバルブを閉めることで容易に測定ができ ると思われる。

結論  脈波血圧法は、低血圧の傷病者であってもパ ルスオキシメーターの脈波がモニター上に出現 すれば、循環状態を知り得る一つの方法となり 得る。 【文献】
1)伊藤太一:パルスオキシメータを使用した 血圧測定の可能性について.プレ・ホスピタ ル・ケア1997;10(2):69−71.
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06.10.28/4:45 PM