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私たちの研究

救急救命士病院実習ガイドライン評価表を導入して


増毛町消防本部:著者連絡先:〒077−0205北海道増毛郡増毛町弁天町3丁目
   土田智洋・斉藤洋一
留萌市立総合病院麻酔料
   川田勝己

  はじめに

 平成10年5月に救急救命士病院実習ガイド ライン(以下、「ガイドライン」)が通知され た。その中では、実習細目が明確に定められ、 厳正な評価を行って以後の生涯教育に活用する ことが明示された。

 増毛町消防本部(以下、「当本部」)では平 成9年から就業前及び生涯教育を実施している が、当本部第III期の就業前病院実習にガイドラ イン評価表(以下、「評価表」)を導入して実 習した。その結果、評価表の利点と問題点が明 らかとなったので、今後の検討課題も含め報告 する。

対象と方法  平成11年5月31日〜6月27日までの土曜日 1日を含む21日間、当本部救急救命士(第15 回国家試験合格者)1名を対象に、留萌市立総 合病院において評価表を導入して資格取得後就 業前病院実習を実施した。

 実習は院内ほぼ全科を対象とし、麻酔科医長 である実習担当医とガイドラインを基に内容を 検討し、評価表導入の承諾を得た。

 評価表は実習者が毎日持参し、各科で実施・ 介助・見学した回数を逐次記入して各科終了ご とに指導医から評価を受けた。

 実習中は指導医が一般診療もあり、すべての 監視ができないため、指導看護婦でも評価可能 とした。

 評価表を基に実習者に反省点、今後の生涯研 修の課題を検討させた。

 なお、今回使用した評価表は、ガイドライン の評価表の例に当本部で軽微な変更を加えたも の(表1)を用いた。

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結 果 [利点]

(1) 明確な実習細目と実習可能範囲の確定
 従前の就業前実習では、指導医から院内での 実習可能範囲が不明確であるという指摘があっ た。しかし、実習細目が記載された評価表を指 導医に提示することにより、実習可能な範囲を 確定することができた。

(2)実習内容の予習とストレス等の軽減
 実習者は資格取得後、初めての病院実習であ り、不安やストレスが蓄積する。しかし、評価 表から実習内容を具体的に把握できることで予 習が可能となり、不安やストレスの軽減につな がった。

(3)生涯教育の課題の設定
 指導医評価を受けることで、生涯教育の課題 や目標がより専門的に設定可能となった。

【問題点】

(1) 記入要領の検討不足
 評価表への記載にあたり、実習者には不明な 点が存在(例:末梢静脈路確保でトライ数か成 功数のどちらを記入すべきか)、導入前に記入 要領を十分検討すべきであった。

(2)評価採点方法が不明確
 実習担当医から、資格取得後に初めて実習す る救急救命士の個々のレベルや理解度に違いが あるため、3段階の採点方法では大まかすぎて 評価しづらいとの指摘があった。

 また、自己評価についても、援助なしででき るが技術的に習熟していない場合や自分なりに まだ十分納得していない場合などの評価方法が 不明確であった。

考 察  当本部では、従来からガイドラインとほぼ同 内容の実習を行っており、実習全般の自己評価 と各科指導医から出される題材のレポート提出 を義務付けて実習してきたが、評価表を導入し たことで、実習範囲が確定され、細目ごとの自 己評価と専門的な指導医評価が可能となった。 また、同時に問題点も存在することがわかった。

 なお、今回は1名のみを対象とした結果では あるが、ある程度普遍的な知見と考えられ、今 後評価表を効果的に活用するために、次のこと について検討する必要がある。

(1)工夫した評価表の作成
 評価表に研修ノート的要素を取り入れ、反省 点や気付いたこと、指導医の意見やアドバイス 欄等を盛り込む工夫をすることで、活用の範囲 がさらに広がり医師との信頼関係向上に寄与で きる。

(2)ガイドライン以外の細目への対応
 院内の多種多様な検査や処置の介助・見学に 対応するため、ガイドライン以外の細目記入欄 (空欄)を設け評価を受ける。

(3)実習可能細目の検討
 資格取得後就業前教育では、実習者個々に差 が生じないよう目標水準を定め、画一した教育 を実習させることが必要であり、ガイドライン 以外の実習可能な細目を実習担当医と十分協議 検討して評価表を作成する必要がある。

(4)統一した記入要領の検討
 実習前に統一した記入要領を十分検討し、実 習者に説明・把握させる。

(5)評価採点方法の検討
 評価の目的は、理解度や実技レベルを明確に した自己評価に対し、専門的な指導医評価をし て問題点の抽出・指摘を的確に行うことである が、ガイドラインの採点方法では評価しづらく 不明確な部分が存在した。

 このため、各評価の3段階採点方法を細分化 して評価内容を改善するなど、的確な評価が可 能となるよう実習担当医と評価採点方法につい て十分検討する必要がある。

(6)生涯教育への活用
 実施した結果を厳正に評価・検討して課題を 見い出し、以後の生涯教育に役立てることが評 価表導入の意義となる。

結論  当本部でガイドライン評価表を導入した。 実施細目・採点方法の検討が必要である。 各消防本部で工夫し、実状に合った評価表 を作成する。

 謝辞:本論文に対しご指導いただいた旭川厚生病院玉川進先生に厚くお礼申し上げます。


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