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手技32:バック・バルブ・マスク(BVM )を使いこなす~応用編~


マスクを持つ 空気が漏れるとき 顔を横に 基本おさらい 現場での基本 現場での応用 OPS#1バックマスク動画(玉川進) OPS#2バックマスク動画(岸芳弘(紋別))


胆振(いぶり)東部消防組合早来(はやきた)支署

若松淳(まこと)

救急救命士


前回はEC 法、米田式、輪状軟骨圧迫法といった、バック・バルブ・マスク(以下、BVM)の基本的な手技を確認した。

しかし、状況によっては手技の変更を余儀なくされることもあるし、顔や気道の形状は千差万別、マスクフィットが通り一辺倒の手技で可能になるとは限らない。

そのような状況時にどのようなコツがあるのか。今回はその数例を紹介する。

なお、手技のコツについては個人的な見解であり、あくまでも基本を忠実に行うのが肝要であるが、読者諸氏の現場活動の一助になれば幸いである。


外傷患者

一般的にBLS を実施する際、用いられるのは「頭部後屈あご先挙上法」だが、外傷患者(特に交通事故)では、頚椎脊髄損傷を否定できないため、頭部を後屈することによる頚椎の伸展や不用意な動揺による二次損傷は避けなければならない

外傷患者に対する気道確保は、「下顎挙上法」で行う。(写真1 )

両手で頭部を保持したら肘を地面に接地し安定させた姿勢で開口し、下顎角を持ち引き上げる。

気道確保の基本は志村 けんの「アイ~ン」である。(写真2 )

頭部保持を継続して下額挙上を行う手技としては、両手の親指で下額を持ち上げる「修正下額挙上法」も同様である。

BVM を保持する際には、頭部が動揺しないように慎重に行う。EC 法を応用するか、両手の母指球を使いマスクフィットさせる方法もある。(写真3 )

入れ歯と老人
老人では歯が欠けていたり、顎骨が萎縮しているために頬とマスクの間にすきまができたり、マスクと顔の形や大きさが合わないことがある。(写真4)

ポイントは患者本来の形状に近づけることである。

しっかりした入れ歯ならば外さない方がマスクフィットは容易である。すでに入れ歯が外れてマスクフィットが困難な患者には、頬の内側に濡れガーゼや綿などを詰めて頬が膨らむようにするか、

両側口角に濡れガーゼを置いて漏れを防止する(写真5‐1,2 )。

しかし、後で気道異物にならないような注意は必要である。

写真の老人は比較的に下顎がしっかりしており、マスクフィットしやすい例だが、下顎が小さい老人やガーゼが異物になってしまう場合には、開口した状態を維持したり経口エアウェイを用いるのもよい。(写真6)

蛇管を使う
バッグとバルブの間に蛇管を付けると、心臓マッサージを行う隊員の操作しやすい場所へバッグを置くことができる。

この際、バルブとマスクの間に蛇管を付けてしまうと死腔が増えるので、必ずバッグとバルブの間に蛇管をつける。(写真7 )

顔を横に向ける
肥満患者のように正中位で気道閉塞しやすい場合は患者の顔を横に傾け、マスク保持する手のひらも使い気道確保とマスクフィットを行う(写真8 )。

指だけでなく手のひらを使って固定されるため、気道確保が容易になる印象を受ける。手の小さい隊員や女性隊員などは手首や指の余分な力がいらないので、試してみてはいかがだろうか。

しかし、当然頸部を捻転させるため外傷患者には応用できない。

円座を使う
後屈した頭部を安定させるために、円座を使用する。(写真9)手術室などではお馴染みだが、揺れる救急車内では円座を固定する必要がある。また、背板を用いた場合は固定が難しい。

喉頭展開時や、器具を用いた気道確保時にはポジションをとるのに有効である。

エアウェイを使う
経口エアウェイ、経鼻エアウェイは全救急隊員に使用が認められており、適不適を誤らなければ、気道確保をより確実かつ容易にすることができる。(写真10)
双方ともサイズの選択を誤ると逆効果であり、また、経鼻エアウェイは顔面外傷がある場合や、頭部外傷患者には使用を避けたほうが良い。
クモ膜下出血などの刺激を与えると悪影響を及ぼす疾患にも使用は避ける。

どのような器具を使用しても、換気ができているかどうかの確認は怠ってはならない。
BVM で換気し、「見て、聴いて、感じて」気道の開通状態と換気状態を必ず確認する。


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