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060201目で見るガイドライン2005 気道確保と人工呼吸

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心マ:呼吸=30:2 現場についたらまずCPR 心マなくして蘇生なし 変わる救命講習 新しい応急処置 日本版救急蘇生ガイドライン


先月に引き続き今月もガイドライン2005(以下G2005)を写真を使い分かり易く説明する。また、ガイドライン2000(以下G2000)からの変更点を解説する。

今月は、気道確保と人工呼吸を中心に解説する。

講師:炭谷貴博(中頓別)

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患者さんへの接触
倒れて動かない患者さんを発見したら、必ず現場周囲の安全を確認してから患者さんに近づく。二次災害を防止する。
意識の確認
患者さんの肩を叩き、耳元で「大丈夫ですか?」等、問いかけ反応をみる。
反応がなければ、「意識なし」と判断し、近くにいる人に119番通報をお願いし救急車を要請。
AEDが近くにある場合は取ってきてもらう。救助者が1人の場合は、自分で119番通報、AEDを準備する。
体位変換
CPRに備えるため、患者さんを地面の固いところに仰臥位にする。うつ伏せの状態であれば、体を回し仰臥位にする。ベッドなどの柔らかい場所の上の場合は、固い地面の床などに移動させる。
気道確保
一般市民の気道確保は、「負傷している」「負傷していない」にかかわらず、頭部後屈あご先挙上で気道確保をする。下顎挙上法は、訓練された救助者以外では気道確保が難しい。(*1)

(*1)G2000では一般市民に対して、首(頸椎)の損傷が明らかな患者さんに対して下顎挙上での気道確保を推奨していた。G2005では、下顎挙上の気道確保は訓練された救助者以外は困難であり、効果的な気道確保ができなため、一般市民は下顎挙上での気道確保は推奨しない。

救急隊員の場合、首(頸椎)の損傷が明らかな場合は下顎挙上で気道確保をする。しかし、下顎挙上で気道確保が不十分または、気道確保ができない場合は頭部後屈あご先挙上を行う。気道確保は頸椎保護に勝る。
異物除去
気道異物が疑われる意識のある1歳以上の患者さんには、胸部圧迫法
背部叩打法、
腹部押上げ法(ハイムリック法)が有効である。しかし、腹部押上げ法は実施後外傷を負わせる可能性がある。1歳未満の幼児では推奨しない。
気道異物が疑われる意識のない患者さんには、一般市民は上記の異物除去は行わず、心肺蘇生法を実施する。救急隊員は、意識のない患者さんが、異物が気道閉塞しているの確認できる場合のみ指拭法(finger sweep)を実施する。(*2)

(*2)G2000では舌と下顎を引き上げて舌根部まで指を入れて異物を引き出すことになっていた。G2005では口の中に異物が確認できて、それが指ですぐ取れそうな場合にのみ指拭法を行う。もし見えても引き出すのに苦労しそうな場合には指拭法は行わない。異物を喉の奥に押し込む可能性が大きいためである。

呼吸の観察
気道確保をしつつ、患者さんの口・鼻に顔を近づけ、顔を患者さんの胸の方に向けて、「見て」「聞いて」「感じて」呼吸をしているかどうかを観察する。観察は10秒以内に、「普通の呼吸」をしているか、していないかを判断する。(*3)

(*3)G2000では「呼吸がなかったり不十分であれば」という表現だったが、G2005では「普通の呼吸をしていなければ」という表現になった。一般人ではあえぎ呼吸や下顎呼吸でも十分呼吸していると解釈しがちである。「普通の呼吸」を強調することによって、普通でないあえぎ呼吸や下顎呼吸でも人工呼吸を実施させるようにしている。

人工呼吸
十分な呼吸がなければ、口対口人工呼吸を2回行う。
人工呼吸はそれぞれ1秒かけて、吹き込み量は胸の挙上がわかる程度吹き込む。マウストゥーマウス、器具を使った気道確保、BVM換気、酸素投与の場合など全てこの方法で実施する。急速で力強い換気は避ける。(*4)

(*4)G2000では、酸素補充がない場合の人工呼吸は、2秒以上かけておよそ10ml/kg(700~1,000ml)の1回換気量。酸素補充がある場合(40%以上)の人工呼吸は、1~2秒かけておよそ6~7ml/kg(400~600ml)の1回換気量と細かく決められていたが、G2005では、吹き込む時間は1秒、吹き込む量は胸の挙上がわかる程度となり、酸素の補充の有無、器具を使った気道確保の有無に関係なくこの方法で実施することを推奨している。

口対口人工呼吸を行う場合は、フェイスシールドや
フェイスマスクの使用を推奨する。
口対口人工呼吸が困難な場合、口対鼻人工呼吸を代替手段としてもよい。
循環のサインの確認
2回の人工呼吸の後、循環のサインを確認する。循環のサインとは「呼吸はしているか」「咳はしているか」「体動があるか」「脈は触れるか」。10秒以内観察し循環のサインがなければ、心臓が止まっていると判断する。一般市民は脈の確認は行わない。
救急隊は、総頸動脈で脈の確認を10秒以内で実施する。(*5)

(*5)G2000では「10秒以上かかってはいけない」だけであった。G2005では「10秒で脈が触れなければ心臓が止まっているものと断定してCPRを開始する」

心臓マッサージと人工呼吸
呼吸が感じられず、循環のサインがなければ、心臓マッサージと人工呼吸を行う。心臓マッサージと人工呼吸の割合は、成人の場合30対2を推奨する。心臓マッサージの施行者は2分おきに交代する。(*6)
幼児、小児の場合で、救助者が2人以上いる場合は、15対2を推奨する。

(*6)G2000では、心臓マッサージと人工呼吸の割合を成人の場合15対2を推奨していたが、G2005では30対2を推奨している。心臓マッサージ施行者は約2分毎に交代させる。これは、長時間のマッサージ施行による疲労、質の低下、リズムが不適切になるのを防ぐためである。詳しくは次号で解説する。

器具(気管挿管、ラリンゲアルマスク、コンビチューブなど)を使用した気道確保がされている場合は、心臓マッサージ100回/分、人工呼吸8~10回/分、同期せず独立したリズムで実施する。(*7)

(*7)G2000ではラリンゲアルマスクやコンビチューブを入れても呼吸させる時には心臓マッサージを中断していた。G2005では心臓マッサージと呼吸は同期させない。肺に空気を送り込むときでも心臓マッサージを中断させてはいけない。

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