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060701目で見るガイドライン2005 訓練・口頭指導・一般への普及


手技

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最新救急事情

心マ:呼吸=30:2 現場についたらまずCPR 心マなくして蘇生なし 変わる救命講習 新しい応急処置 日本版救急蘇生ガイドライン


講師

亀山洋児

稚内地区消防組合消防署猿払支署

救急救命士

 今回はG2005において記載された一般への教育に関する記述を紹介する。アメリカ版やヨーロッパ版のG2005には一般人に対する教育の項目がほとんどないため、ILCOR2005とその和訳ページ1)から抜粋して本稿を記載したことを初めにお断りしておく。詳しくは和訳ページ1)を見ていただきたい。

 CPRのトレーニング方法については1966年に初めて雑誌に掲載されて以来、常に議論されてきた。ガイドライン2000での勧告は講義から実技へ、複雑から単純へ、そして特定の背景を持つ人々への重点講習を提案した。G2005でもそれらの方向性は踏襲されている。さらにこの5年間の機械の進歩に合わせ、パソコンなどを利用した方法も検討されている。

1、 教育方法


指導者と受講者の比は講習の種類により1:3から1:6の間にする。少人数(4-8人)でグループを作る

 従来型のCPR実習では、技能の習得と維持が不十分である。

 できるならば、核となる知識は受講前に受講者自身が身につけてくるべきである。講習内容には核となる知識の試験と実地技術の評価を含ませる。指導者と受講者の比は講習の種類により1:3から1:6の間にする。少人数(4-8人)でグループを組み(図1)、指導者と受講者の間で双方向性の議論を交わしながら実践訓練と問題解決型臨床シナリオを組み合わせて教育を行う。人工模型,シミュレータなどは実地技術訓練の一部として活用する。


視覚的ガイドは技術の習得に有用
視覚的ガイド(図2)や

音声ガイドも有用である。メトロノームといった単純な器械からコンピュータ内蔵のスピーカー装置まで含まれる
音声ガイド(図3)が実習に有効であることが示されている。音声や視覚によるガイダンスやその他の方法を用い、行動手順や胸骨圧迫と換気のタイミングを機械に指示させることが望まれる。

一部の器械では今行った手技の善し悪しを解説してくれる。これをCPR技能の早期習得に役立てる
 さらにそれらの機械を用いた修正のためのフィードバック(図4)はCPR技能の早期習得に役立つ可能性がある。また、ガイダンス装置が利用できない場合でも技能が発揮できるように、ガイダンス装置なしの実習に充分な時間を割く必要がある。

2、 AED指導に効果的な方法


AEDの講習の方法も実施時間も様々試みられており、どれも技術習得に役立っている
 いくつかの研究で、バイスタンダーとなる一般市民にCPRとAEDの実習が広く普及されれば、病院外CPAの患者の生存率が改善されることが示されており、一般市民がCPRのみ、もしくはCPRとAEDの実習を受けて用具が配備されている地域では全国平均より高い生存率が示された。

 別の研究では、多岐にわたる方法と時間の実習で、AEDの模擬演習と技能の維持が着実に向上すること(図5)が報告されている。模擬演習上の心停止シナリオにおいて、正確かつ適切にAEDを使用できるかどうかはAEDの使い勝手の良さによることが示されている。


AED講習は地域ぐるみ参加してもらう
 推奨される手法は、地域ぐるみで一般市民にAED実習を行なうことである(図6)。

AEDメーカーは効能改善のためにAEDの使い勝手をさらに向上させる必要がある
 AED実習に関して特定の指導方法を推奨する十分な科学的根拠はない。また、AEDメーカーは効能改善のためにAEDの使い勝手をさらに向上させる必要がある(図7)。

3、 BLS指導に効果的な方法


ビデオはBLS習得に有力な方法である
 研究では、教育形式が異なると、BLS技能の習得と維持に大きく差が出ることが示された。

 ビデオを見ながら(図8)実習を行なう指導プログラムが他の教育形式よりも技能習得と維持に優れているといういくつかの研究結果があり、成人受講者を対象とした研究では短時間のビデオ実習プログラムによって、従来の実習と同等かそれ以上のCPR技能習得が可能であることが示されている。


ビデオは指導者にとっても標準的な方法を短時間に示すことができる
 またこの方法は受講者に標準手技を教え、指導の時間を短縮し(図9)、講習会の費用を軽減させる。

 しかしながら、その方法が一番いいということはなく、それぞれの方法はそれぞれ長所と短所を持っていることを覚えておく必要がある。


実習しながらビデオを見るのが効果的かもしれない
 推奨される手法は、指導方法を従来の方法に限定するべきではなく、新しい方法(例えば実習しながら見る、図10)の方がより効果的かもしれない。

効果的に技能習得と保持が出来ているかという観点で実習プログラムを評価する必要がある。


ビデオが主流となったとしても、指導者は、状況を説明し、手本となり、さらに受講者に熱意と動機を提供することができるため重要である
 しかし,方法がいくらあったとしても指導者の役割は過小評価するべきでない。ビデオやCDでは予定されていなかった状況を説明し、手本となり、さらに受講者に熱意と動機を提供することができるからである(図11)。

4、 胸骨圧迫の手の位置の指導方法


心臓マッサージ。G2005の方法。『胸の真中に手を置く』
 マネキンを用いた研究で、手の位置が詳細に検討された。正しい手の位置を教える為に、『胸の真中に手を置く』(図12)と単純なメッセージをつけて指導する方法と、

心臓マッサージ。以前の方法。『肋骨縁をなぞる方法』。胸部圧迫するまでに時間を要し1分間あたりの圧迫回数が減少した
解剖学的な目印を用いる方法(肋骨縁をなぞる方法、図13)を比較した。

 手を置く位置が許容範囲内に収まる割合は両者の間で差は認められなかった。

 肋骨縁をなぞる方法は人工呼吸につづいて胸部圧迫するまでに時間を要し1分間あたりの圧迫回数が減少した。手の位置が悪ければ傷病者を傷つけかねない。


重要なのは、正確な手の位置を教えることではない。胸骨圧迫の中断を最小限にとどめて1分間あたりの胸骨圧迫の適正回数確保の重要性を強調することである。
 推奨される手法は、胸骨圧迫の手の位置を指導する際には、解剖学的な目印をあまり気にせずに単純化をはかるとともに、胸骨圧迫の中断を最小限にとどめて1分間あたりの胸骨圧迫の適正回数確保の重要性を強調することである(図14)。

5、 一次・二次救命処置の再受講間隔について


定期的な再受講が技能の維持に重要
 研究では、二次救命処置の講習受講後少なくとも6週間から2年間のうちに再受講しなければ医療従事者の二次救命処置技能と知識が低下することが報告されており、知識面のみの再受講コースでは精神運動技能の低下を防ぐことが出来なかった。他の研究では、3ヶ月または6ヶ月間隔で再受講すれば12ヵ月後も同様の一次救命処置遂行能力が得られ、再受講受講者は再受講を受講しなかった者よりもたいへん上手だった。

 推奨される方法は、一次・二次救命処置共に技能の維持には頻繁な理論と実践の再受講である(図15)。再受講に最適な間隔は確立されていない。

6、 CPR実施の心理的な障壁


口対口人工呼吸は躊躇したり尻込されやすい
 症例研究等では、CPR講習受講後であっても病院の内外を問わす、成人傷病者に対してCPR特に口対口人工呼吸を躊躇したり尻込みすることが示されている(図16)。

多くのCPA症例ではバイスタンダーはただ立っているか興味本位で覗いているだけである(写真を撮るやつもいる)。感染の恐れ、やり方を間違えてしまうことへの恐れ、そして傷病者を傷つけてしまうのではないかという恐れがバイスタンダーCPRを妨げる要因であり、これら3つの恐れを解くことが指導者に求められる。
 CPR実施を躊躇したり尻込みする大きな要因として、口対口人工呼吸の実施による感染の恐れ、やり方を間違えてしまうことへの恐れ、そして傷病者を傷つけてしまうのではないかという恐れが挙げられる(図17)。

フェイスシールドで感染を予防する
 推奨される手法としては、CPR実習プログラムに口対口人工呼吸の実施による感染の最小限の危険性に関する討論を含める(図18)等の方法が挙げられる。

口対口人工呼吸が嫌な場合には心マのみの蘇生も考慮する
 口対口人工呼吸に気が進まない場合は胸骨圧迫のみの蘇生(図19)を考慮しても良い。

引用
1)http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/05/CoSTR-08.htm

協力


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06.7.6/9:57 PM