OPSホーム>基本手技目次>100822工夫(第2回)応急手当普及啓発

工夫

第1回

応急手当普及啓発

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執筆者プロフィール

北岡和高(きたおかかずたか)(写真中央)
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松山市西消防署西部支署救急小隊長
平成三年四月一日消防士拝命
平成十五年十二月救急救命士合格

趣味:軟式野球・ミュージカル鑑賞


シリーズ構成

泉清一(いずみせいいいち)

大洲地区広域消防事務組合
大洲消防署内子支署小田分駐所勤務
専門員兼救急第一係長兼消防第二係長

昭和五十六年四月一日消防士拝命

平成十六年五月救急救命士合格

気管挿管・薬剤認定救急救命士

趣味:格闘技全般(柔道五段・相撲三段)


工夫

第二回
応急手当普及啓発

写真2
経費節減のため職員が手作りしたテキスト

前回の大洲消防・泉さんからのご紹介で、第二回目を担当します松山市西消防署西部支署の北岡です。どうぞよろしくお願いします。今回の工夫は、松山市消防局が取り組んでいる「市民ニーズを反映させた応急手当普及啓発と講習を支えるサポーター等の指導力UP」についてです。

1.松山市の概要

写真1
松山市役所

 私が勤務している街、松山市は愛媛県の県庁所在地で、四国一の人口、約五十一万人が居住する中核都市です(写真1)。三千年の歴史を誇る日本三古湯である・道後温泉が湧き、俳人正岡子規や高浜虚子ゆかりの地で、小説「坊ちゃん」「坂の上の雲」などの舞台となった「いで湯と文学のまち」です。

 その松山市を管轄とする松山市消防局は、職員数四百五十四人(うち女性職員十二名)・救急隊十三隊・消防救急艇一艇・救急隊員百八名(女性隊員三名)・救急救命士五十三名・救急隊運用救命士四十九名の二交替制で救急業務を行っています(平成二十二年四月現在)。


2.安全・安心日本一のまちづくりを目指して

写真3
消防救急艇はやぶさ

 中村松山市長の公約の一つである「安全・安心日本一のまちづくり」を目指して、松山市消防局では、職員一丸となり様々な施策を実施しております。救急分野では、市民に対して応急手当の普及啓発、島峡部対策として救急車積載型消防救急艇「はやぶさ」(写真3)の導入、到着時間遅延地域対策として救急出張所の新規開所、救急業務の更なる高度化を目指したメディカルコントロール協議会の充実、救急車適正利用の啓蒙活動を行っています。

 その中でも応急手当普及啓発は、市民の災害対応能力の向上が期待できるとともに、市民と職員が身近に接することができ、消防行政に対する理解と協力を得る絶好の機会であるため、特に推進しています。応急手当に関する正しい知識取得・技術向上と傷病者の救命率向上を目的とし、長期目標として平成十七年度から十年後の平成二十六年度までに、市の人口約二十%に相当する十万人の市民の方々に受講していただけることを目指しています。目標策定から五年目の平成二十一年度で、延べ約八万六千人の市民の方々に受講していただいています。


3.普及啓発の工夫

 松山市消防局が実施している普及啓発の工夫、特に次の2点に絞って記したいと思います。

(1)講習会の内容
(2)女性消防団員・防災サポーターの指導力UP

(1)講習会の内容

 講習会の内容については、他都市と同様に、普通救命講習会衍と上級救命講習会及び一般救命講習会を実施しておりますが、松山市独自の講習会としては次のようなものがあります。

ア「乳幼児をもつ親のための救命講習会」

 これは、年七回の定期講習会で、乳幼児に対する応急手当や事故予防に重点を置いた内容の講習会となっています。

 この講習会の主な対象者は、「乳幼児をもつ親」となりますので、親子で受講する方が大半となります。幼い子供さんを連れての受講となると、必然的に子供さんのことが気になり、講習効果が薄くなります。また、他の受講者に迷惑がかかることを懸念し、受講意思があっても断念している方の「救命講習を受講したくても、子供の面倒を見てくれる人がいないので受講できない。子供がいても受講できる講習会はないでしょうか?」との声に応え実施しているものです。また、乳幼児突然死症候群(SIDS)が問題となった頃に企画・開催を決定しています。

 この講習会を企画・開催するにあたって、次のような諸問題を解決する必要がありました。

(1)保育
(2)会場
(3)広報活動
(4)指導者
(5)講習内容

(1)保育
 「子供連れ」が前提での講習会ですので、講習中の子供さんを「どうするか?」が問題となりました。前述のとおり子供同伴での受講となると、講習効果等の問題があるため、「別行動とすること」との結論になりました。別行動とするためには、誰かが「子守」をする必要がありますが、職員や女性消防団員が子守役をするのは、種々の問題が予想されます。そこで、専門家に依頼するのが最善であり、かつ費用を抑えるためにどうするかを検討した結果、市保育課に協力を要請したところ、保育士有資格者の派遣協力を得ることができ、専門家による「保育」の環境が整備できました。

(2)会場
 定期講習会とする方向で検討されましたので、講習会場も定置で実施することになりました。また、前術のとおり、親子別室での講習・保育が望ましいため、講習会場と保育場が近距離もしくは同一施設内である必要がありました。講習会場は、消防局隣接の防災センター内救命講習室で開催することになりましたが、防災センターには保育場とする部屋がなく、消防局内にも適当な部屋がありませんでした。消防関係施設以外で検討した結果、防災センターとの合同庁舎である保健所に協力を求めたところ、遊具を備えた保育室の使用協力を得、同一施設内での講習会場と保育室の確保ができました。

(3)広報活動
 松山市消防局では、はじめての定期講習会であったため、市民の方へ周知する必要がありました。啓発方法としては、市広報誌・ホームページ・ポスター掲示・民間情報誌等を活用した結果、多数の受講希望者を確保することができ、講習会開始から八年間で、約七百五十名の市民の方に受講していただきました。

(4)定員
 開始当初は、多数の保育士が確保できていたことと、予想以上の申込者があったため、定員三十名で実施していました。数年経過する頃には、受講希望者もある程度落ち着いたことと、保育課の業務拡大等に伴い、次第に派遣保育士の確保が困難となりました。そこで、定員の見直しを実施し、十名の定員とすることとなりました。定員削減の結果、受講者とより密接な講習会となり、結果として以前より身近で内容のある講習会となりました。

写真4
女性消防団員による指導

(5)指導者
 開始当初は、ローテーションで救急隊員二名程度が出向指導していましたが、女性消防団員の発足と救急隊員の負担軽減のため、救急隊員一名と女性消防団員で指導することになりました。子育ての先輩である女性消防団員が加わることにより(写真4)、受講者も従前より受け入れやすいものとなったようです。また、必要に応じて保健所から保健師が派遣され、質疑・応答の時間を設け、受講者からの質問等に答えるとともに、保健所からの連絡事項を周知することができ、相乗効果が生まれました。

(6)講習内容
 乳幼児を持つ親を対象とした講習会ですので、その内容も乳幼児への応急手当に特化したものとなっています。CPRは当然ながら、窒息対応に力を入れるとともに、熱性痙攣をはじめとした小児独自の疾病に対する応急手当を指導しています。それだけでは、普通の救命講習と変わりませんので、指導内容の充実を図るため、事故予防を取り入れるべきだと思いました。事故予防の資料は印刷物や映像等を用いる方法も検討しましたが、費用対効果を検討した結果、次のような事例写真を作成しました。

写真5
「荷台に子供が乗っています。危ないところを挙げて下さい。」

 例えば、自転車の荷台に子供を載せたまま買い物袋を持ち上げている母親の写真を見せ(写真5)、危険箇所を探してもらいます。ぱっと見ただけでも数点の危険箇所が潜んでいるのがお分かりかと思います。危険箇所を複数取り入れ、小出しに指導することで、受講者の方は「潜む危険とは何か?」を考えてくれます。このような資料を複数活用(写真6)しながら危険予知訓練を取り入れ、予防救急にも取り組んでいます。

 この講習会が、市民の方々に好評を得、今日まで継続して開催できているのは、費用を抑えながら市民ニーズに応えるため部局を超えて協力が得られたこと、その時の状態に対応して、柔軟に変化することができたことが要因であると思います。

イ「聴覚障害者に対しての応急手当講習会」

 女性消防団員等は、手話も学んでおり、手話を活用したボランティア活動を行っています。その特色を活かし、聴覚障害者の方々を対象とした救命講習会を実施しています。救急隊員が主となって指導し、少人数のグループを一人の女性消防団員が受け持ち、手話をしながら指導します。

 この講習会は、「救命講習等を受講したいとの希望があっても、障害があるために受講できない」との思いを受けた女性消防団員が企画し、開催しているものです。

 この講習会を企画・開催するにあたって、次のような諸問題を解決する必要がありました。
(1)講習内容(視聴覚障害者への伝達手段)
(2)開催場所と受講者確保

(1)講習内容
 普段実施している講習内容では、聴覚障害者の方には理解していただけませんし、興味を持ってもらえない恐れがあるため、講習内容を工夫する必要がありました。できるだけ視覚に訴えながら指導する方法を取り入れました。

 詳細な文章ではなく、簡潔明瞭にポイントを絞った資料を作成し、ホワイトボードや絵図を用いながら説明し、デモも通常よりオーバーアクションで行いながら、手話の進行具合に留意しながらの実施となりした。

 ここまでの指導内容は、事前の打ち合わせで問題解消できましたが、AEDの指導は、通常の資器材では聴覚障害者の方に理解していただけないことがわかりました。トレーニング用AEDは、音声メッセージとショックボタン等の明滅がありますが、聴覚障害者には、ショックボタン等の明滅しか理解できません。手話や資料を用いて説明する方法等を検討しましたが、障害者の方の「積極性」を失う恐れがあるため、あえてAEDの指導を回避しようかとの意見もありました。訓練用資器材にこだわりすぎることで、方向性が不透明になっていました。そんなある日、救急活動で本物のAEDを使用中に心電図画面に文字メッセージが表示することを思い出し、「これなら、聴覚障害者の方も理解できるのでは。」と思い、実器とトレーニング用AEDを併用しながら指導することにしました。実器にテスターでVF波形を再現し、実際の心電図波形を見ることで、よりリアルな訓練となり興味を持ってもらうことができました。

 興味を持ってもらうために、AEDの実器使用以外にも、通常の講習会にはない工夫を取り入れました。救急車の見学、昔話の劇からのデモ導入、救急○×クイズ、FAXやメールを使用した119番通報要領の説明を実施しました。

写真6
手話実施者

(2)開催場所と受講者確保
 聴覚障害者の方々が集まりやすい施設での開催が望ましいとの意見があり、交通手段の利便性が良い消防防災センターでの開催を検討しましたが、聴覚障害者の方が、普段から集まる場所が最適であるとの結論になりました。松山市には、聴覚障害者の方が参加している手話サークルが幾つかあり、受講者確保の面からもサークル活動の一環として、普段集まっている場所で開催させてもらい、指導員(写真6)を派遣しています。

 この講習会を指導させてもらって感じたことは、「伝える」ことの工夫が、「興味」をもってもらうための工夫となりうることと、それらの工夫を組み合わせる事によって、プラス効果が得られ、より内容の濃いものとなることでした。また、訓練用の資器材や、普段配布しているリーフレット(通報要領等)は、あくまでも健常者を対象にしているものであるため、障害者の方を対象としたものの整備も必要であると感じました。

ウ「小学校での窒息事故防止講習会」

 小学校等には、窒息への対応に特化した一般講習会を案内しています。他都市の小学校で給食中に窒息死亡例が発生したことを受け、「松山市の小学校からは不幸な事故を出さない。」ことを目的とし企画しました。

 毎年、多くの小学校等では、プール開催時期や夏季休暇時に合わせて、救命講習会を実施しています。毎年救命講習を受講し、多忙を極める教職員の方々に、新たに時間を作ってもらうためには、通常の救命講習との違いを鮮明にし、興味を引くような指導内容が絶対条件となります。そこで、講習時間を短時間(一時間程度)にし、指導内容も次のような「工夫」をとりいれました。

写真7
異物除去法の訓練

 あえて、CPRとAEDの指導は簡素化し、異物除去法とチームプレーでの救命活動を主体に指導しました。異物除去法については、プレゼンテーションを使用した説明と受講者同士による観察法や背部叩打法、ハイムリック法トレーニングマネキン・CPRマネキンを使用した異物除去の訓練(写真7)を実施後、想定訓練を実施しました。想定訓練では、実際に起こった事例を参考にし、救助者(教員役)と傷病者役、児童役や隣のクラスの教員役に扮してもらい、異物除去法だけでなく、児童に他の教師を呼ぶ指示を出せるか、CPR手技等のチェック表を作成し、我々と校長先生や教頭先生と一緒にチェックすることで、緊張感とユーモアのある訓練となり好評を得ました。

エ「プール開きに伴う救命講習会」

 どこの市町村の小学校等でも、夏季休暇前にPTAを対象とした救命講習が開催されていることと思います。ほとんどの学校では、毎年講習会を実施しており、受講者も複数回受講している方が少なくありません。受講者も細かい手技を忘れているとはいえ、CPRメインの指導内容は、ほぼ同じことの繰り返しとなり「またか」という気持ちになることも否めません。また、指導する私自身も指導内容にマンネリを感じていたこともあり、何か変わったことができないかと模索していました。同僚や他消防本部の救命講習を見学したり、公的団体が開催している講習会に参加したりもしましたが、基本的な指導内容に大差はありませんでした。

写真8
プール監視員

 初夏のある日、同僚が「小学生の子供のプール監視当番になったが、監視方法がよくわからない」と相談にきました。私は学生時代にプールの監視員をしていた(写真8)経験がありましたので、監視方法を教えたところ、消防職員でさえ意外に知らないことに気づきました。それなら、PTAの方はもっと知らないのではと思い、プール監視に伴う救命講習の際には、監視要領を取り入れてみようと思いました。あくまでもメインはCPR指導ですので、アイスブレーキングの意味も兼ね、冒頭に指導します。

自己紹介等の後、まずプールのサイズを質問します。読者の皆さんは、わかりますか?

きっと25mと答える人が多いと思います。

「では、横幅は?」

「・・・・20m位?」

 たいていの方は、ここで詰まります。

 正解は、15m?20m前後が多いようですが、その小学校でサイズが違うので、あらかじめ下調べが必要です。参考までに、コース幅は1コースあたり、2m?2.5mが多いようです。

 その次は、溺れる箇所はどこが多いか図を使用して質問します。ほとんどの受講者は排水溝付近と回答しますが、プールサイドから数メートル地点であるとか、飛び込み台の下で意外に多く発生していることを理由を説明しながら指導すると、大抵の皆さんは話に聞き入ってくれます。

 いよいよ、監視方法に入ります。まず準備物や監視する服装・格好について視覚に訴えて指導します。実際に職員やPTA役員の方に協力してもらい、麦藁帽やサングラスをかけた格好を見せます。監視当日に必要な準備物の笛や竹竿・浮き輪等も確認し、それらを実際に使用して、現在の知識で監視訓練をしてもらいます。受講者を監視員役数名と児童役に分け、児童役の一人が溺れるという想定で行います。沢山の児童から一人の溺者を見つけ救出する訓練です。友達役が「○○君が溺れた。助けてぇ?。」と叫ぶと、大半の場合は溺れている児童役をすぐに見つけることができません。では、どうすればすぐ簡単に見つけることができるでしょか?
皆さんならお分かりですよね。

 答えは、「溺れていない児童をプールから上げる。」ことです。(早期に溺れている児童を発見して、適切に対処する方がベストなのかもしれませんが、あくまでも、児童が多くて溺者がわからないという想定での話しなのでご了承ください。)

「プールに残っている児童が溺れている子供ということですよね。」

(「なーんだ、そんなことかぁ。」顔の受講者)

「では、溺れてない児童を早くプールから上げる方法は?」

「大声で叫ぶ。」

「騒いでいる子供に聞こえます?」

「・・・・。」

「合図を送ることです。それも、条件反射的な」

「・・・・。」

「休憩の合図はどうしますか?」

「笛(鐘)を吹いています。」

「そうですよね。笛の合図で「プールから上がる」という決まりなんですよね。」

「はい。」

「せっかくなので、それを利用しましょう。プールで泳ぐ前に、笛の合図で水から上がるという練習しますよね。それは、休憩の合図というだけでなく、緊急時にも使えるのです。だからこの練習を数回繰り返すことが必要なのですよ。」

(たいていの人はうなずく)

 この後は、実際の救助方法の指導になり、ひと通り理解してもらったら、再度、同じ想定訓練を実施し、監視要領と救助方法の指導を終えます。

 ここまでプール監視の話で、ほとんどの人は「へぇ?。」となりますので、本題のCPR講習がスムーズになります。

 受講後のアンケート結果は、好感触の意見がほとんどで、「毎年同じ訓練(CPR)だったので新鮮でした。」とか、「プール監視要領をはじめて学んで楽しかった。」等の意見をもらうことができました。

(2)講習を支えるサポーター等の指導力UP」

写真9
サポーターによるAED解説

年間六百回を超える講習会は、開催場所を管轄する救急隊員が出向指導していますが、体調管理等の問題から、女性消防団員や防災サポーター(大学生の機能別消防団員)の方に応急手当指導員養成資格講習を受講してもらい、補助的な役割で救命講習会の指導に参加してもらっています(写真9)。

写真10
大学生への講習

基本的には救急隊員2名または、女性消防団員・防災サポーター(以下、サポーター)との組み合わせで指導しています(写真10)。

 サポーターが指導に参加するようになった当初は、一部の救急隊員から、その指導能力・指導技術等について、疑問の声がありました。応急手当指導員養成講習を受講しているとはいえ、普段は会社員・パート・主婦・大学生等の様々な職種であるサポーターに、その指導能力や指導方法の質の維持や向上を求めることに無理があることは、誰の目にも明白でした。実際の講習会では、指導に対して消極的であったり、重要部分の間違いを指導できなかったり、不安定な知識で指導をしているサポーターもいました。

写真11
「救命講習会での指導能力UP」講習会

 そのような問題点を改善するため、消防局総務課・警防課から依頼を受けた中央消防署救急隊が主となって、サポーターへ「救命講習会での指導能力UP」を目的とした講習会(写真11)を定期的に開催しております。

写真12
効果的なデモの方法を教える

 これは応急手当の基本手技をはじめとして、成人教育法・フィードバックや効果的なデモの方法(写真12)、視線や距離感等の指導法等を身に付けてもらい、指導技術・能力等の向上を目指しています。人前で話す(指導する)という立場になりますので、3分間スピーチ等も実施し、人前で緊張しないメンタル面もUPしたように思えます。

写真13
AED体験コーナー

その成果も徐々に現れており、百貨店・アーケード商店街等でのAED体験コーナー(写真13)では、サポーターのみで指導することもあります。

写真14
防火少年団への講習

積極的なサポーターの方では、新米救急隊員に負けないような指導技法を身につけている女性消防団員等も見受けられるようになりました(写真14)。


4.普及啓発活動が実を結んだ事例

 昨今、CPA事案での市民によるバイスタンダーCPR実施例が見受けられるようになりました。これは、通信指令課員による口頭指導マニュアルの導入、救急救命士資格者・救急隊員経験者の通信指令課への配置等と、普及啓発活動の効果が現れたものだと思います。また、AED普及に伴い、ゴルフ場・スポーツクラブ施設等での使用例も見受けられるようになり、社会復帰例も報告されるようになりました。

図1
救命のリレー

 筆者自身が出動した事案での出来事です。ある日の夕方、仕事帰りのOLが、スポーツクラブで運動中に倒れ、心肺停止となりました。周囲に居合わせたスタッフや利用者のスムーズな連携(図1)で、特に後遺症もなく社会復帰することができました。後日、この傷病者の方と、スポーツクラブでCPR等を実施してくれた方々全員とお会いする機会がありました。そこには、生命の危機を乗り越えた女性とは思えない笑顔がありました。また関係者の方からは、「救命講習を受けていて良かった。」「あの日、救急隊員さんが見えた瞬間、『助かった。なんとかしてくれる。』と思ったんですよ。」等の声をいただき、今までやってきた活動が実を結んだと確信しました。この施設では、毎年救命講習会を実施しており、あらためて普及啓発活動の大切さを痛感しました。このような事例が一つでも多くなることを願い、今後も普及啓発に努めたいと思います。


5.おわりに

写真15
坊ちゃん列車

 「乳幼児をもつ親のための救命講習会」や「小学校での窒息事故防止講習会」等は、市民の声や報道内容に着目することで実現しました。「プール開きに伴う救命講習会」は、今までの講習会の内容と講習会の目的を再考することで、新たな「工夫」が生まれました。

写真16
「坂の上の雲」のまち 松山
 市民ニーズや時事問題に向き合うと共に、「これでいいのか?」「もっと良い方法はないのか?」といった探求心を持つことで、新たな「工夫」が生まれるのではないでしょうか?

写真17
ポンジュース水道

 昨今の緊縮財政のため、いかに費用を抑えるかということも重要となっています。そのためには、他部局との協力、市民参画、なにより職員の「工夫」が大切なのだと思います。この原稿で書いた「工夫」は、経費を抑えながら実行しているものばかりです。今回の執筆が皆さんのヒントになれば光栄です。

写真18
じゃこ天

 終わりになりますが、平成二十三年二月三日・四日には、松山市で第十九回全国救急隊員シンポジウムが開催されますので、「坂の上の雲のまち」(写真15)「いで湯と文学のまち道後・松山」(写真16)に是非、お越しいただければ幸いです(写真16, 18)。ありがとうございました。


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10.8.22/5:12 PM