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初学者のための車両救助法

第1回

教育TKY

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講師

後列左から:田中健治(たなかけんじ)・浦辺隆啓(うらべたかひろ)原太志(はらたいし)越前洋介(こしまえようすけ)

前列左から:加藤洲和也(かとすかずや)・佐藤純二(さとうじゅんじ)

著者紹介

(株)日産クリエイティブサービス 陸別(りくべつ)Proving Ground・車両管理課 レキュー隊

日産自動車北海道陸別試験場の安全確保と万一の事故に備える自衛レスキュー隊として2006年7月に結成。地元消防署や外部講師の協力を仰ぎつつ、現在6名体制で訓練に励んでいる。


新連載
「初学者のための車両救助法」

第1回
教育

1.初めに

 今回から6回にわたって「初学者のための車両救助法」をお送りします。項目は「教育」「安全管理」「車両破壊」「標準的な救助法」「特殊な救助法」「総合救出」です。初学者の皆さんは知識の吸収に、ベテランの皆さんは知識の再確認に役立ててくださればと思います。

 執筆は私たち (株)日産クリエイティブサービス 陸別(りくべつ)Proving Ground・車両管理課 レキュー隊が担当いたします。本隊は日産自動車北海道陸別試験場の安全確保と万一の事故に備えて自衛レスキュー隊として2006年7月に結成されました。結成から約4年、地元消防署や外部講師の協力を仰ぎつつ、現在6名体制で訓練に励んでいます。

2.安全教育「KYT」

 要救助者に安全をもたらすためには、まず己の安全を確保しなければなりません。救助隊が事故に巻き込まれてしまっては、要救助者も結局救助できなくなるからです。私たちは安全教育として「KYT」を行っています。「KYT」とは、K:危険(Kiken)Y:予知(Yochi)T:訓練(Training)の略で、職場や作業の状況の中に潜む危険要因(不安全行動や不安全状態)とそれが引き起こす現象(事故)をチーム内で話し合い、危険のポイントを絞り込み、行動する前に安全を先取りする教育訓練です。危ないことを危ないと感じる感覚・危険に対する感受性を養うため、私たちレスキュー隊はKYTを取り入れ災害防止と安全維持向上に活用しています。

3.KYT4ラウンド法

 イラストシートや写真などを使い「どんな危険が潜んでいるか」をメンバー内が話し合います。問題解決は以下の4階段(ラウンド)を経ることによって行ないます(表1)。



ここでは写真(図1)を使ってKYT4ラウンド法を実際の流れに沿ってご説明します。

図1 提示された写真

図2
リーダーは写真をメンバーに見せ“どんな危険が潜んでいるか"を問いかけ考えられる危険をどんどん出し合うように心がけます。

<point>
・リラックスした雰囲気で進めること。


(1) 1ラウンド(現状把握)

どんな危険が潜んでいるか?話し合いましょう。

図3
メンバーは写真を見て気付いた危険を積極的に発言します。

<point>
・他人の発言を批判しない。
・「?なので?して?になる(する)」と具体的表現で発言する。

図4
メンバーの発言を模造紙、または、ホワイトボードに記入して可視化し共有を図ります。

<Point>
・できるだけ多くの危険を発見する。(7項目以上)

図5
1ラウンド終了です。

(2)2ラウンド(本質追求)
発見された危険のうち重要な危険は何かを絞り込みます。

図6
1ラウンドで出された7項目以上の危険の中からチームにとって重要な危険は何か?について話しあい、重要と思われる項目に印をします。

<point>
・NO(ナンバー)に○をつける。
・○印は何個になってもよい。

図7
○印を付けてた重要と思われる項目の中からさらに「危険のポイント」をメンバーの合意で絞り込みます。

<point>
・絞り込んだ項目NO、に◎を付けアンダーラインを引く。
・1-2項目まで絞り込む。

図8
2ラウンド終了。

(3)3ラウンド(対策樹立)
絞り込んだ「危険のポイント」に対し具体的で実行可能な対策を話し合います。

図9
2ラウンドで絞り込んだ「危険のポイント」に対し、予防または防止するために「自分ならこうする」などアイデアを出し合います。

<point>
・「?する」と言う前向きな発言で発表する。

図10
一つのポイントに対し3項目程度の対策案を出します。
<point>
・ハード面の対策でもよい。

図11
3ラウンド終了。

(4)4ラウンド(目標設定)
3ラウンドで出された対策案の中から、チームとして必ず実践する「重点実施項目」を話し合いで絞り込みます。

図12
3項目程度の対策案の中から、チームとしての「重点実施項目」を話し合いで絞り込みます。

<point>
・話し合いで決まった「重点実施項目」に※印とアンダーラインを引く。

図13
「重点実施項目」を確実に実施できるように具体的なチーム行動目標を設定します。

<point>
・各「重点実施項目」を一つのチーム行動目標としてまとめる。
・「...する時は...して...しよう」ヨシ!!のようにまとめる。

図14
4ラウンド終了。


4.指差し呼称の設定(KYT4ラウンドの確認)

最後にメンバー合意のもと指差し呼称を設定します。

図15
4ラウンドで決めたチーム行動目標をもとに実際に現場で呼称できるようにポイントをとらえて具体的な呼称項目を設定します。

<point>
・短い呼称でポイントを外さないこと。

図16
リーダーの呼称のあとメンバーも続いて呼称します。

<point>
・指差し呼称を頭に叩き込むように3回繰り返す。

図17
担当者はKYT実践メモを作成し保管します。

<point>
・書式を作っておくと便利。

図18
現場でも指さし呼称を繰り返します。写真より強固に記憶されます。

<point>
・KYT4ラウンドの再確認も行う。

5.最後に

最前線でのヒューマンエラー事故を防止し日々安全を確保するには、職場や作業に潜む危険を自主的に発見・把握・解決するため、一人ひとりの隊員の危険に対する感受性や集中力や問題解決力を養うことが重要です。

指さし呼称を含めたKYTは
・気づかなかった問題点を気づかせる
・情報を共有する
・声を出し文章化することによって情報を単純化する
・指さし呼称によって視覚で記憶できる
利点があります。救助・消防だけではなく、品質管理や経営にも応用できる有力な方法です。

旭川医療センターの新人研修でもやりました


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http://ops.umin.ac.jp/

12.6.3/10:09 PM