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初学者のための車両救助法

第5回:特殊な救出方法

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講師

後列左から:田中健治(たなかけんじ)・浦辺隆啓(うらべたかひろ)原太志(はらたいし)越前洋介(こしまえようすけ)

前列左から:加藤洲和也(かとすかずや)・佐藤純二(さとうじゅんじ)

著者紹介

(株)日産クリエイティブサービス 陸別(りくべつ)Proving Ground・車両管理課 レキュー隊

日産自動車北海道陸別試験場の安全確保と万一の事故に備える自衛レスキュー隊として2006年7月に結成。地元消防署や外部講師の協力を仰ぎつつ、現在6名体制で訓練に励んでいる。


初学者のための車両救助法

第5回
特殊な救出方法

1.はじめに

今回は「特殊な救出方法」をお送りします。要救助者の意識がない、発火の危険があるなど、要救助者を一刻も早く車外に出さなければならない場合には、先月号の大人数で傷病者を包むように救い出す方法では手遅れになりかねません。今回述べる「抱きかかえによる救出」「毛布による救出」を行います。逆に、危険は迫っていないが脊髄損傷が強く疑われる場合や、要救助者を上方へ吊り上げて救出したい場合には「KEDを使用した救出方法」を選択します。

2.抱きかかえによる救出

その姿が似ているので「タンゴダンス」とも呼ばれます。脊椎軸を最低限のレベルで安定させ救出する方法です。安定といってもたった1人が要救助者の頭を抱え込むだけですので、大した効果は期待できません。要救助者が切迫した状態に置かれているときにこの方法を選択します。

写真1
要救助者の頸部を固定する
要救助者の顎を救助者の肩に乗せて、後頭部から頸部を用手で固定しています。用手による救出に比べ固定が劣るので、頸部の固定を十分に意識するよう注意します。

写真2
要救助者と身体を密着させる
救助者は自分の身体と要救助者の身体を密着させます。身体を密着させないと身体の動揺を与えてしまいます。

写真3
要救助者の腰部を保持する
反対側の手で、要救助者の腰部・ベルト・ズボンなど掴めるものがあればしっかりと掴みます。肥満体型の人であれば、1人で保持することを考えず、補助をつけることも考慮します。

写真4
バックボードに乗せる
要救助者と座席の間にバックボードを挿入して、要救助者を押し倒すようにして寝かせます。バックボードに乗せるときも身体を密着させて、身体の動揺を最小限に抑えるよう注意します。

3.毛布による救出

「抱きかかえによる救出」よりは時間的に余裕がありそうだが救出を急ぎたいときに選択します。救助者は2名必要です。

写真5
毛布紹介
直ちに対応できるようにあらかじめ形を作っておきます。

写真6
頭部保持をする
要救助者の頭部を保持します。頭部保持隊員は、毛布による固定が完了するまで頭部保持を継続します。

写真7
毛布を脇に通す
毛布を要救助者の頸部から脇の下に通します。

写真8
毛布により頭部を固定する
脇の下から出てきた毛布を持ち上げて頭部を固定します。その際、毛布をしっかり張った状態にしないと頭部固定が緩んでしまい危険です。

写真9
バックボードに乗せる
毛布を張った状態に維持して端末を持ち、要救助者をバックボード上に滑らせるようにして乗せます。

4.KEDを使用した救出方法

KED(Kendrick Etrication Device)は事故車内で要救助者の体幹及び頭頸部を固定し脊柱の動揺を抑え車外に救出することが可能な資器材です。装着に時間を要するので、火災兆候がある場合や重症傷病者の救出には向きませんが、その性質を活かし車両のルーフオープン時に要救助者を上方から吊り上げることで縦方向からの救出が可能となります。

写真10
KED挿入
はじめに車両をルーフオープンした状態で要救助者の頭部を保持しながら上体を起こし、KEDを背中に挿入します。

写真11
体幹のベルト固定
「緑」「黄」「赤」3本のベルトで要救助者の体幹部を固定します。隊員間で連携して、送り締めも確実に行ないます。

写真12
脚部のベルト固定
体幹が固定できたら足ベルトをかけ脚部を固定します。これは一時的な固定で固定力は決して高くありません。

写真13
頭部の固定
最後にストラップで前頭部と顎部を固定してKEDの装着は完了です。

写真14
左右の結索
車両上方へ縦方向に救出する場合は、KEDの左右の持ち手にロープを結索し、要救助者が車体に対して垂直に吊り上げられるようにします。

写真15
傷病者の吊り上げ
車両のウインチや、梯子システムを使った吊り上げを行なう時は、必ず左右に隊員を配備しKEDの挙動を補助しながら救出を行ないます。

次回は最終回「総合的な破壊」です。


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12.6.8/10:14 PM