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実践ガイドライン2010

第6回

気道確保と人工呼吸

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2012/6/15近代消防社から発売 

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講師

奥平浩之(おくだいらひろゆき)
昭和61年9月20日生まれ(25歳)

富良野広域連合富良野消防署
占冠支署 消防係

出身 富良野市

消防士拝命
平成19年4月1日
ハ趣味 raggae deejay(札幌近郊等で歌っています)



気道確保と人工呼吸(実戦ガイドライン2010)

【はじめに】

 富良野広域連合は、私が勤務しております占冠村の他に、消防本部を置く上富良野町、中富良野町、富良野市、南富良野町の5市町村から成り立ちます。

 占冠村は、面積が571.31k、人口が平成23年8月末現在で1,150名、自然が豊かで名産物には山菜があり加工品なども販売しております。平成22年には?34.4度を記録し、その年の日本一寒い村としてテレビやニュースで取り上げられました。トマムには星野リゾートトマムがあり、毎年数多くの観光客の方が訪れます。

 私は、占冠支署に勤務をしてまだ5年目の新米消防士であります。まだまだわからない事ばかりで毎日が勉強の日々です。今回のテーマは「気道確保と人工呼吸」となっております。未熟な私ですがどうぞよろしくお願い致します。

【G2005からG2010(主な変更点)】

 ・ガイドライン2010ではBLS(一次救命処置)の順序が、従来のA?B?C「AはAirway(気道確保),BはBreathing(人工呼吸),CはCirculation(胸部圧迫)」ではなくC?A?B。

 ・気道確保後の呼吸評価から「息をしているか見て、聞いて、感じて」(写真1)が削除。 
 ・気道確保及び人工呼吸は省略可能。(救急隊員、救急講習を受けている人以外)


 
【気道確保】

 気道確保は、前述でも記したとおりガイドライン2010からはA-B-CからC-A-Bになり、胸骨圧迫を30回実施した後に行います。これは、胸骨圧迫の重要性が強調され、バイスタンダーによって胸骨圧迫を行われた場合とそうでない場合の生存率のデータや動物を用いた実験データを基にされています。

 そして主な変更点でも記したとおり、呼吸の評価観察で「息をしているか見て、聞いて、感じて」が削除されました。要は、呼吸を手短に確認し、いち早く胸骨圧迫を実施して救命率の向上を図るためです。

 ※ 救急隊の呼吸の観察はBLSアルゴリズムでは「見て、聞いて、感じて、触れる」が推奨。ガイドライン2010のALS版では、「見て、聞いて、感じて」が消去され、「熟練した救助者は患者の呼吸を確認しながら同時に頸動脈の拍動の有無を確認しても良い」に変更となっている。

 どちらにせよ、今の時点では「気道確保」「見て、聞いて、感じて」を実施せざるをえない状態である。

【気道確保の方法】

 気道確保には、頭部後屈顎先挙上法を主に用います。(写真2)



 外傷等により、頸部損傷が疑われる場合は下顎挙上法を用います。(写真3)



【気道確保の省略化】

 これは、気道確保の仕方に躊躇したり、慣れない人がやることで胸骨圧迫が遅れ生存率が下がるのを防ぐためです。(とにかく胸骨圧迫が救命の近道!)

 一般市民への方に対しては、迷わず呼吸がないこと(死戦期呼吸含む)がわかったならば胸骨圧迫を指導します。併せて、死戦期呼吸についてDVDなどを見せ講習会等で今まで以上に詳しく講義する必要があるかと思われます。

【人工呼吸】

 人工呼吸もC-A-Bになったことで胸骨圧迫を30回実施した後になります。体内に酸素を送り込むことよりも、胸骨圧迫を最優先し、血液を全身に循環させることが何より大事であると定義されたからです。

 呼吸の確認は従来通りの「見て、聞いて、感じて」ではなく、目視だけで迅速に行う。10秒以内に確認する事が大事である。(普段通りの呼吸があれば、回復体位にする。)(写真4)


 
【人工呼吸の方法】

・仰向けに寝かせ、気道確保実施後、片方の手で鼻をつまみ相手の口を自分の口で覆う。(空気が漏れないように)(写真5)


・口の中に異物があればできる範囲で除去。

・傷病者の胸の上がりを確認できる程度の換気量として、2度繰り返す。
(BVMでは酸素の投与の有無によらず、約1秒かけて胸が上がるように行う。)
※ 特にCPR中の過換気は避けるべきである。

【人工呼吸の省略化】

 気道確保と同様に、口と口を重ねることに躊躇したり、慣れない人がやることで胸骨圧迫が遅れてしまい生存率が下がるのを防ぐためです。(とにかく胸骨圧迫が救命の近道!)

 ガイドライン2005でも省略は可能でしたが、明確にはされていませんでした。
一般市民への方に対しては、迷わず呼吸がないこと(死戦期呼吸含む)がわかったならば胸骨圧迫を指導します。併せて、死戦期呼吸についてDVDなどを見せ講習会等で今まで以上に詳しく講義する必要があるかと思われます。
 




【G2005からG2010になって利点と欠点】

~利点~
 ・気道確保や人工呼吸の省略化を行うことでバイスタンダーの胸骨圧迫実施率が向上、CPRの開始時間が早まると思われる。

 ・「見て、聞いて、感じて」が省略されたことにより、目視のみで手短に確認することにより、死戦期呼吸の傷病者を呼吸ありと判断する事が減少すると思われる。


~欠点~
 ・今までガイドライン2005の要領で救命講習を受講していた人が、再受講した際に困惑し、心肺蘇生法が遅れることも懸念される。

 ・小児に対しても、胸骨圧迫のみを実施する可能性が出てくる。(小児の呼吸停止は窒息の割合が高い)

 ・上記と同様に、溺水や気道閉塞、窒息の傷病者に対しても人工呼吸が実施されない可能性が示唆される。通信員の口頭指導が大事となる。
 

【終わりに】

 今回、このような原稿を書くことになるとは正直思ってもいませんでした。しかし、この原稿を書くことで自分自身もいい復習になり今後の為にもなりました。

 「TRC ガイドライン2010」イラスト版が2010年10月に発表され、1年が経ているが、救急隊による手技の変更はいまだ未施行です。

 ガイドライン2005施行も3年遅れる時期に伝達講習をし、運用開始した記憶があります。

 次回のテーマは『AED』です。



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12.6.16/9:21 AM