手技14:ヘルメットの脱がせ方とネックカラーの装着方法

講師

笹井智博

紋別地区消防組合消防署興部支署


ヘルメットを装着したままの傷病者に対して、確実な気道の評価とその確保を行うことは困難であることが多い。そのため救急隊員は、二次的損傷を予防しながらヘルメットを脱がす手技を習得する必要がある。ヘルメットの脱がせ方とネックカラーの装着方法について説明する。

(写真1)ヘルメットを固定(中立位)している隊員(二番員)が、鼻、顎、へそが一直線になっている事を確認。

(写真2)ヘルメットを固定する際、下顎も同時に固定する。(ヘルメットを固定しただけでは、ヘルメット内で頭部が動く恐れがあるため。)

(写真3)隊員の位置は写真のとおり。

(写真4)一番員はシールドを開放し、顔面を観察する。メガネ、サングラスをしていればこの時点で外す。(シールドを開ける際には抵抗があるため、しっかりヘルメットを固定しておくこと。)

(写真5)一番員は顎紐を医療用安全ハサミを用いて切断し、頸部に損傷がないかを観察する。(顎紐は簡単に緩めることができるが、衝撃を受けたヘルメットを再度使用させないために切断するほうが良い。)

(写真6)一番員は片手で後頭部を支え、もう片方の手の親指・示指・中指で下顎を押さえ(腕は真っ直ぐ)確実に頭頸部を固定する。

(写真7)この時点で頭頸部の保持は一番員に委ねられるため、固定する手の位置はヘルメットの付け根部分(頭部に動揺を与えない位置)まで入れ、固定を確実に行う。

(写真8・9)写真6・7での1番員の手の位置。ヘルメット内ではこのようになっている。
(写真10)二番員は耳が邪魔にならないようにヘルメットを左右に広げながら脱がせていく。顎紐を引っ張ると切れる可能性があるため、ヘルメットの左右のふちを両手で持つ。


(写真11・12)まずは鼻がクリアーする位置までヘルメットをローテートする。(ヘルメットを傾けるのであって、頭を傾けるのではない。)一度で鼻がクリアー出来ない場合は、この操作を繰り返し行う。



(写真13・14・15)鼻がクリアーするのを確認するため一番員は下から覗き込むように見る。鼻の頭が視認できたら、ヘルメットをそのまま真っ直ぐ脱がせていく。


(写真16)ある程度ヘルメットを脱がせた位置で、後頭部を支えている1番員の手を頭側へずらす。(一気に脱がせると頭の重みで後屈してしまう恐れがあるので、完全に脱げる直前には隊員同志で声を掛け細心の注意を払う。)

(写真17)脱がせたら頭部固定を交替しニュートラル位に保持する。


(写真18・19)指を肩に置き、肩と下顎の延長線上でネックカラーのサイズを計る。(サイジングの際、指はネックカラーの当たる位置に置くこと。)
(写真20)ネックカラーのサイズを決める。

(写真21)ネックカラーを胸壁に滑らせ下顎をのせる。(正中にあることを確認)

(写真22)下顎を固定した状態でベルクロ部分を巻き込み、後頸部をくぐらせ留める。

(写真23)完成図
※ 立位・座位の場合も、基本的には同じである。

今回紹介したものは、外傷現場で必要とされる手技の一部でしかない。プレホスピタルにおける外傷処置の知識と技術をしっかりと学ぶためには、BTLSやPTCJのセミナーに実際に参加する必要があることを最後に付け加えておく。

講師:笹井智博(紋別地区消防組合消防署興部支署)
協力:大井雅博、今井睦、松田幸司、熊谷和樹(紋別地区消防組合消防署興部支署)

〈参考文献〉
畑中哲生「救急救命スタッフのためのBTLS」メディカ出版
プレホスピタル外傷研究会編「プレホスピタル外傷学」永井書店

〈参考ホームページ〉
BTLSジャパンHP
 URL:http://www.ujitoku.or.jp/BTLS/index.html

PTCJプレホスピタル外傷研究会HP
 URL:http://fish.miracle.ne.jp/hidaka


<基本手技目次へ戻る